2000 Fiscal Year Annual Research Report
植物の光スイッチを担う植物核内因子群の分子遺伝学的並びに生化学的解析
Project/Area Number |
12740451
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山本 義治 理化学研究所, 植物変異探索研究チーム, 研究員 (50301784)
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Keywords | シロイヌナズナ / 光形態形成 / 転写 / グルココルチコイド |
Research Abstract |
COP1タンパク質をプローブとしてFar-Western法により単離した新規の遺伝子CIP4(COP1-Interacting Protein 4)について本年度は詳細な解析を行った。CIP4は分子量約100kDaのタンパク質をコードしており,データベース検索の結果CIP4に相同性をもつ遺伝子は大腸菌や酵母,線虫,ショウジョウバエ,ヒト,さらにはらん藻には存在せず,植物特異的な遺伝子であることがわかった。GFPとCIP4との融合タンパク質は核に局在すること,またGAL4融合遺伝子を用いたトランスアクチベーションアッセイの結果から,CIP4は転写を活性化する共転写因子であることが強く示唆された。CIP4の植物個体内での役割を調べるために,CIP4アンチセンスRNAをグルココルチコイドホルモン処理により誘導出来るトランスジェニックシロイヌナズナを作成し,その表現型を解析したところ,CIP4アンチセンス植物は光シグナル応答が抑制されていることが明らかになった。さらに,COP1が制御している光応答として,光による細胞伸長抑制,葉緑体の発達,アントシアニン合成,が知られているが,CIP4アンチセンス植物はこのうち細胞伸長抑制と葉緑体の発達だけに抑制が見られた。このことからCIP4はCOP1が担う光応答の全てを媒介するのではなく,部分的な応答を担うことが強く示唆された。このことはCIP7の場合も同様であったが,CIP7は葉緑体の発達とアントシアニン合成を支配し,細胞伸長抑制には関与していないので,CIP4とCIP7の担う応答はいくらか異なる。 以上の結果から,以下のようなモデルが導き出された。すなわち,COP1の下流には転写調節因子群が役割の細分化された光シグナルの正の制御因子として複数存在し,それらは光の非存在下においてはCOP1により抑制され,光を受けるとその抑制が解除される。
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[Publications] Yamamoto YY,Deng X-W,Matsui M: "CIP4, a new COP1 target, is a nuclear-localized positive regulator of Arabidopsis photomorphogenesis."Plant Cell. (in press). (2001)
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[Publications] Nakazawa M,Yabe N,Ichikawa T,Yamamoto YY,Yoshizurni T,Hasunuma K,Matsui M: "DEL1, an auxin-responsive GH3 gene homologue, negatively regulates shoot cell elongation and lateral root formation, and positively regulates the light response of hypocotyl length."Plant Journal. 25. 213-222 (2001)