2000 Fiscal Year Annual Research Report
ラット鋤鼻器感覚細胞のフェロモン応答に対する性ステロイドホルモルの作用
Project/Area Number |
12740463
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
横須賀 誠 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90280776)
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Keywords | 性ホルモル / 鋤鼻器 / フェロモン / 免疫組織化学染色 / RT-PCR / Whole cell patchクランプ |
Research Abstract |
本研究は、性ホルモンが鋤鼻器感覚細胞のフェロモン受容に及ぼす影響を、生理学的・組織学的に解析しようと計画されたもので、実験計画に基づき本年度は(実験1):ラット鋤鼻器スライスに対するwhole cell patchクランプによる感覚細胞からの電気生理記録法の開発と樹立、(実験2):免疫組織化学染色およびRT-PCRによるフェロモン受容に続く鋤鼻器感覚細胞におけるセカンド・メッセンジャーの探索を行った。 結果:(実験1):Whole cell patchクランプによる感覚細胞からの生理記録の取得に成功した。しかしながら、本年度中に米国の研究グループによって哺乳類(マウス)の鋤鼻器感覚細胞からの電気生理記録に成功した旨の論文が発表された、これにより、手法を論文報告することが困難になったため、whole cell patchクランプによる生理記録法の確立を科学論文として発表するには至らなかった。(実験2)免疫組織化学染色およびRT-PCRによって、イノシトール3リン酸(IP_3)受容体に関する物質のうち、ある種の物質に関係する免疫反応およびmRNAの存在が鋤鼻感覚上皮に特異的に認められることが明らかとなった。この結果は、鋤鼻器感覚細胞ではフェロモン受容に続く細胞内刺激伝達のセカンド・メッセンジャーとしてIP_3を使っていることを示唆している。この研究成果は、現在投稿準備中である。 鋤鼻器感覚細胞に対する性ホルモンの作用機序を解明するには、鋤鼻器感覚細胞の基本生理が理解されていることが必須である。本年度の研究によって、細胞内刺激伝達系の候補が見つかったことは非常に有意義であった。来年度は、Whole cell patchクランプによる感覚細胞からの生理記録法を用いて、候補として上がってきたセカンド・メッセンジャーの動きに性ホルモンがどのような影響を及ぼすか検討する。
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