2001 Fiscal Year Annual Research Report
系統情報と化石情報による、ゴンドワナ関連植物の進化史の復元
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12740467
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
朝川 毅守 千葉大学, 理学部, 助手 (50213682)
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Keywords | ゴンドワナ / マキ科 / ソテツ目 / 古植物 / 植物地理 |
Research Abstract |
南半球を中心に分布している裸子植物(いわゆるゴンドワナ植物)について、主に葉緑体DNAのmatK、rbcL、核DNAのLeafyの塩基配列を決定し、系統解析を行った。その結果ソテツ目では、葉緑体遺伝子に偽遺伝子が多いことがわかり、系統関係としてソテツ属とそれ以外の属の大きく二つの分類群に分かれることがわかった。後者の内部の系統は扱う遺伝子により大きく結果が異なり、さらに検討を要する。マキ科では大陸をまたがって分布する属が全て単系統であることが確認されたが、Podocarpusは遺伝子の変機の量が小さく、属の中でニュージーランドの種と南米の種が単系統になるという関係が別々の系統で複数回見つかるなど、最近になって海を渡ったのではないかと思われる結果が見出された。また裸子植物唯一の寄生植物であるParasitaxusが寄生の習性を獲得した時期が推定された。 形態情報はさく葉標本と液浸標本を用いて、生殖器官、枝(シュート)、材及び葉について、光学顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡を用いて解剖学的データを精査した。これらの形質情報を分枝系統樹上に乗せたところ、ソテツ目の繁殖器官など系統を反映するものもあったが、マキ科の繁殖器官や葉など多くの形質は複数回の平行進化があったことがわかる。 これまでの調査で採集した化石について、南アメリカならびにニューカレドニアの材化石について解剖学的特徴を明らかにし、類縁の決定を試みた。また過去に植物化石の詳細な研究が行われている地域について文献を集め検討した。 これらのデータを総合すると、研究に使ったいわゆるゴンドワナ植物の多くは、白亜紀末から第三期の前半にかけて南半球に広く現れており、大陸の分断による分散を考えることが可能であるが、いくつかの分類群においては最近になって海を越えた分散によって分布を拡大したと思われる例があった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 朝川毅守, 瀬戸口浩彰: "化石記録と系統から推定されるNothofagus属(ナンキョクブナ属、Nothofagaceae)の進化史"日本植物分類学会会報. 16・1. 13-28 (2001)
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[Publications] Setoguchi H., Asakawa, T., Ito M., Pintaud J-C, Jaffre T.: "Phylogenetic Relationship within Podocarpaceae Based on atpB, matK, and rbcL gene sequences"Journal of Plant Research Supplement. 114. 28-29 (2001)
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[Publications] Asakawa T., Setoguchi H., Jaffre T., Ito M.: "An Evidence of Relaxed Functional Constraints on rbcL Gene in Parasitic Gymnosperm, Parasitaxus ustus"Journal of Plant Research Supplement. 114. 37 (2001)