2000 Fiscal Year Annual Research Report
イオン伝導体内Agの原子運動―中性子共鳴吸収分光法N-RASによる機能性材料評価
Project/Area Number |
12750001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加美山 隆 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50233961)
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Keywords | 中性子散乱 / 共鳴吸収 / イオン伝導体 |
Research Abstract |
中性子共鳴吸収分光法(Neutron Resonance Absorption Spectroscopy,N-RAS)は、中性子共鳴吸収即発γ線分析法と飛行時間法を組み合わせた、我国の中性子実験グループにより提案・開発された全く新しい概念に基づく分光法である。本研究は、この新しい分光法でイオン伝導体中のAg原子の運動を追跡し、材料研究に対する本手法の有用性と応用性を明らかにする事を目的とする。平成12年度は、N-RASによる特定元素の運動研究への応用の一例として層状化合物TaS_2の測定、さらにAg系イオン伝導体試料の作成とその系統的測定の一部を進めるとともに、本研究の重要な部分に位置付けられるN-RAS実験用の室温〜高温域用試料恒温装置の作成を行ってきた。今年度のN-RASによる材料研究としては、まずAgに近い中性子共鳴吸収断面積を持つTaを選び、層状化合物TaS_2中のTaイオンについて、面内及び面に垂直な方向間の運動性の違いがスペクトルに現れるか検討した。その結果、Taイオンは面内方向の実効温度が垂直方向より高く、N-RASによって材料内原子の運動の方向性を測定することも可能であるという結論に達した。さらに本研究の最終目的であるイオン伝導体中のAgについて測定を系統的に進め、まずAgIの20K付近の低温部分にAgイオンの運動性が変化する点があることを見出した。一方、恒温装置の製作については、各種実用材料の使用条件で重要となる室温付近から200℃程度の中温域用として、特に時間のかかる中性子散乱実験で長期間安定な恒温槽をめざし設計を行った。この設計に従いセル吊り下げ型の真空槽を作成し、これに対する高低温サーキュレータを準備した。さらに今年度はこれに加えてその場測定用のLCRメーターも導入した。
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Research Products
(1 results)