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2000 Fiscal Year Annual Research Report

分子軌道法による氷結晶における気体の拡散に関する研究

Research Project

Project/Area Number 12750003
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

堀 彰  北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (60280856)

Keywords氷 / 拡散 / 分子軌道法
Research Abstract

氷結晶中の気体の拡散係数の推定を行うため,非経験的分子軌道法を用いた,移動の障壁エネルギーの計算を行った。氷の格子間拡散の中で,結晶のc軸に沿った経路であるTuサイト→Tuサイト, c軸に垂直な経路であるTuサイト→Tcサイトの拡散を取り扱うため,それぞれ水分子18個と14個からなるクラスターを作成し,移動の障壁エネルギーの計算を行った。
まず,実験データのあるHeおよびNeに関して,構造の緩和を行わない計算を行い,実験データとの比較をして,非経験的分子軌道法で用いる基底関数のレベルの決定を行った。Heでは,基底関数として6・311G(d,p)を用いると,c軸に平行な方向の拡散の実験データをよく再現できることがわかった。さらに,原子の移動に伴う全エネルギーの変化から,attempt frequencyを見積もり,古典的な遷移状態理論に基づく理論式を用いて,拡散係数の前指数因子を計算したところ,実験データと良い一致を示した。また,Neに関しても同様であるが,計算値が実験値よりも5%大きくなったが,これは,構造緩和の効果を無視したためであると考えられる。
以上のことから,HeやNeのように氷の格子との相互作用の小さい気体に関しては,構造の緩和を考慮しなくても,障壁エネルギーや拡散係数の推定が行えることがわかった。しかしながら,本研究の目的である,メタンや二酸化炭素の拡散をこの方法で扱うためには,分子の移動に伴う氷の格子の構造緩和を考える必要がある。また,より厳密な理論に従って拡散係数を推定するためには,格子振動の振動数の変化を計算する必要がある。これらの目的のために,より大きな系に対する計算を行うとともに,今後,新たに分子動力学法による計算を予定している。

URL: 

Published: 2002-04-03   Modified: 2016-04-21  

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