2000 Fiscal Year Annual Research Report
アブレーション条件下超高速時間分解X線回折による結晶構造変化機構解明の試み
Project/Area Number |
12750004
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畑中 耕治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90312545)
|
Keywords | パルスX線 / 光励起型X線管 / レーザープラズマX線 / 溶液ターゲット / X線発光スペクトル / X線発光イメージ |
Research Abstract |
時間分解X線回折装置を構築するため,初年度においてはパルスX線光源の開発を行った. 従来のX線管のカソードを光励起型に交換したものに,フェムト秒レーザーパルスを照射することによってパルスX線を発生させた.X線発光エネルギースペクトルを測定したところ,発生するX線のエネルギー領域は定常印加する電圧に依存し,最大値を15keVとする白色X線と,ターゲットであるWの特性X線に加え,X線管の材料であるFeやCoなどの特性X線が観測された.パルス幅に関しては20ps程度に広がることが計算から明らかになった.こうした光励起型X線管は,照射するレーザーのパルス幅に応じて出力されるX線のパルス幅も自在に変化させることが可能であり,光源としての応用範囲は広いと期待される. また点光源化や高強度化が期待できるレーザープラズマX線源に関しても,CsClなどのアルカリ金属高濃度水溶液をターゲットとし実験を行った.溶液をターゲットとするレーザープラズマからのX線発生に関してはこれまで報告例が殆どなく,パルスX線発生機構に関して新たな知見が得られると期待される.発生するX線の強度は,照射するレーザー光強度やCs^+などの陽イオンの原子番号に依存して増加した.考察から,レーザー集光スポットにおいては80PW/cm^2程度の高強度電場が生成し,これによるトンネルイオン化と自由電子の加速が誘起されていると考えている.またX線エネルギースペクトルによると,レーザー光強度の増加だけでなく,溶質濃度の増加に対しても,発生するX線フォトンのエネルギーが増加することから,自由電子の加速に対してレーザー電場によるだけでなく,電子間の相互作用が大きく寄与していると示唆された. 以上の結果を基にした論文については現在投稿準備中であり,これらパルスX線光源を用いた時間分解X線回折計もそのシステム構築に取りかかりつつある.
|