2000 Fiscal Year Annual Research Report
水晶振動子を用いた空気中非接触原子間力顕微鏡の高速高分解能化
Project/Area Number |
12750028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 竜治 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40243183)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 水晶振動子 / 周波数変調法 / 非接触 / I / V / Si(111) / AFM / FM |
Research Abstract |
原子間力顕微鏡(AFM)は、これまで真空中では試料と非接触(NonContact)の状態で試料表面を原子分解能観察できるところまで進歩してきたが、空気中では原子分解能を持った非接触での観察は行えなかった。我々は先端にAFM探針を取り付けた幅100μm・長さ3mm程度の細長い針状の水晶振動子を力センサー(共振周波数1MHz)として、その長手方向振動の共振変化により、探針試料間の距離制御を行っている。水晶振動子を用いることで、通常のAFMカンチレバーとは異なり、空気中においても共振が鋭い(Qが高い)ため、共振変化、すなわち距離変化を高感度に測定できる。 測定のS/Nを高めるため、次のような改良を行った。まず、水晶振動子の励振のための励振回路の最適化を行い、高安定な自励発振回路を開発した。次に、励振信号の検出のため水晶振動子に流れる電流を検出するI/V変換器に新たな回路方式を導入して、2MHzの帯域を保ったまま、ゲインを10倍に高め、S/Nを向上させた。 これらの改良により、水晶振動子が試料からの微少な引力を受けたときのわずかな周波数変化を直接検出する「周波数変調法」を新たに導入することにした。このため、微少な共振変化を広帯域に高感度に検出できる周波数検出回路が非常に重要となった。そこで、従来からあるアナログ方式周波数検出回路の改良を行い、1msの応答速度で、最小10mHzの微少な周波数変化を検出可能とした。 AFM装置としての性能評価のためにSi(111)自然酸化膜表面の観察を行い、従来位相検出法を使ったものに比べ約5倍の高速な走査ができることを確認した。
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Research Products
(1 results)