2000 Fiscal Year Annual Research Report
蓄冷式冷凍機における積層型蓄冷器の特性評価とその高性能化
Project/Area Number |
12750052
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
琵琶 哲志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50314034)
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Keywords | 蓄冷式冷凍機 / 蓄冷材 / 振動流 / エネルギー変換 / 蓄冷器 / 熱輸送 / 不可逆的熱交換 / 可逆的熱交換 |
Research Abstract |
蓄冷式冷凍機はこれまで,作動流体が膨張空間において膨張仕事を行うのとひきかえに,熱を吸収し,結果として低温部の温度が低下すると説明されて来た.しかしながら,この視点からは,熱とともに冷凍機内部に流入するエントロピーのことがまるで考慮されない.低温部から流入したエントロピーは,蓄冷器内部を通過し,室温部にある圧縮機から排出される熱とともに冷凍機の外に流出すると見なすことが最近,行われるようになって来た.この視点では蓄冷器はエントロピー流,熱流の流路としての役割を担う.このような「熱力学量の流れ」は,往復動する作動流体と蓄冷材の間の熱交換によって維持される.この熱交換過程は一般的には不可逆過程であり,有限な時間を要する.この特徴的な時間は緩和時間と呼ばれ,作動流体の流路半径と,熱拡散係数を用いて表される.従って冷凍機の運転周波数がこの緩和時間と比較して十分長ければ等温的な熱交換が実現され,冷凍出力は最大となるが,逆に同程度であれば,不可逆的となり冷凍出力は減少する. 今回の研究では,圧力変動と作動流体の往復運動の間の位相差をパラメータとして冷凍出力を測定し,蓄冷材と作動流体の間の熱交換が等温的であるか断熱的であるかを調べた.その結果,直径が0.2mmの球状分を蓄冷材として充填した蓄冷器は動作温度が30Kを下回るとともに不可逆的な熱交換が支配的となることが明らかになった.このことは作動流体として用いたヘリウムガスの熱拡散係数が温度の低下とともに急激に低下することを反映していると考えられる.以上のことから,低温域で冷凍出力を増加させるには,より小さな流路をもつ蓄冷器を開発すること,また冷凍機の運転周波数を可変にし,低音域ではより遅い周期で運転することが望まれると結論した.
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