2001 Fiscal Year Annual Research Report
線形化ボルツマン方程式の直接的数値解析による微小系の混合気体流の研究
Project/Area Number |
12750053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60271011)
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Keywords | ボルツマン方程式 / 熱ほふく流 / すべり流 / クヌーセン層 / 混合気体 / 微小系 / MEMS / 気体分子運動論 |
Research Abstract |
最近のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に代表される微小系では,系の代表長が気体分子の平均自由行程と同程度であり,系は十分に(局所)平衡状態には達していない.そのため・微小系ではNavier-Stokes方程式に基づく従来の流体力学からは全く予想できない様々な現象が見られる.これらの現象を理解するには,非平衡系を取り扱える気体分子運動論(ボルツマン方程式)が必要になる.本研究では,実用上重要な混合気体の微小系における流れを解明する目的で,最近代表者が開発した線形化ボルツマン方程式(混合気体系)の差分数値解法を用いて,すべり流現象に関する基本的な1次元半無限境界値問題を気体論をもとに解析した. まず,熱ほふく流の解析を行った.熱ほふく流とは,壁面の温度がその表面に沿って勾配をもつとき誘起される流れで,外力の有無に関わらず生じる従来の流体力学では説明できない現象である.構成成分気体の様々な混合比について数値解析を行い,熱ほふく流による運動量輸送などの混合比に対する依存性を明らかにした.さらに熱ほふく流による「すべり係数」が即座に取り出せるデータベースを構築した.この成果は,オーベルボルファッフ数学研究所(ドイツ)における「気体論方程式に対する漸近および数値解析」会議,さらに第17回輸送理論についての国際会議で発表した.また,熱ほふく流の解析と平行して,気体論方程式の漸近解析を行い,系の希薄度が軽度な場合の気体の振舞いを記述する流体力学的方程式とその境界条件を導いた.ここではMEMSにおける流体解析を念頭において弱非線形の範囲で解析を行った.これにより,MEMSにおける広い範囲の流体解析を,拡散すべり,熱ほふく,せん断すべり係数のデータベースを利用して,通常の流体力学のレベルで行う基礎が固められた.すでに拡散すべり,熱ほふく係数のデータベースは完成しており,せん断すべりのデータベースを構築する基礎計算を行った.
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