2000 Fiscal Year Annual Research Report
電子パッケージ薄膜配線のヒロック形成予測と短絡故障強度評価法への展開
Project/Area Number |
12750063
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
笹川 和彦 弘前大学, 理工学部, 助教授 (50250676)
|
Keywords | 電子パッケージ / エレクトロマイグレーション / 短絡故障 / 支配パラメータ / 数値シミュレーション / 絶縁膜 / 多結晶配線 / バンブー配線 |
Research Abstract |
本年度は以下の項目の研究を実施した。 1.シリコン基板上に形成した折れ曲がるアルミ薄膜バンブー配線の角部を対象とし,同部における一定時間通電後のヒロック体積をエレクトロマイグレーション(EM)損傷支配パラメータを用いて予測する一方,通電実験を行った後原子間力顕微鏡により形成されたヒロック体積を計測した。折れ曲がる配線の角部においては,配線の折れ曲がり角度および角部から陽極端・陰極端までの長さの割合を変化させることにより,EM損傷の主要因子である電流密度,温度分布を変化させることができる。ヒロック体積の予測値と計測値を比較することにより,同支配パラメータの有効性をヒロック形成の観点から検証した。 2.前記研究項目1で扱った配線と異なり,実用の配線は絶縁物により被覆されている。そこで,表面にポリイミド薄膜を有するアルミ多結晶配線を用いた通電実験を行い,絶縁物の破壊形態およびヒロックの形成・成長形態の観察を電界放出型走査電子顕微鏡を用いて詳細に行った。絶縁膜を押し上げるように配線表面においてヒロックが形成・成長した。また絶縁膜のない配線の場合に比し,通電開始から損傷開始までの潜伏期間ならびに断線までの時間が増大した。以上より,絶縁膜被覆の配線においては,EMによる金属原子の蓄積に起因して配線内部に応力分布が形成されると考えられ,この応力が配線間絶縁物を破壊し,それに続くヒロックの形成・成長が短絡故障を発生させることがわかった。 3.前記研究項目2を踏まえ,実用配線における短絡故障の再現に欠かせない表面に絶縁膜を有する配線のEM損傷支配パラメータを定式化し,短絡故障のための数値シミュレーション手法開発に着手した。また短絡故障再現の基礎となる表面に絶縁膜を有する多結晶配線の断線故障シミュレーション手法の開発にも着手した。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] K.Sasagawa(M.Hasegawa,M.Saka and H.Abe): "Electromigration Damage in Bamboo Line"Proc.of an Int.Conf.of Mechanics for Development of Science and Technology. Vol.II. 847-852 (2000)
-
[Publications] 笹川和彦(長谷川昌孝,八木学,坂真澄,阿部博之): "表面に保護膜を有する多結晶配線におけるエレクトロマイグレーション損傷支配パラメータ"日本機械学会2000年度年次大会講演論文集(II). No.00-1. 25-26 (2000)
-
[Publications] K.Sasagawa (K.Naito,M.Hasegawa,M.Saka and H.Abe): "Prediction of Bamboo Line Failure by Using a Governing Parameter of Electromigration Damage"Proc.of Int.Workshop on Sensing and Evaluation of Materials System. 25-32 (2000)
-
[Publications] 笹川和彦(坂真澄,阿部博之): "エレクトロマイグレーション損傷支配パラメータを用いたLSI配線の断線予測"第1回マイクロマテリアルシンポジウム講演論文集. 46-49 (2000)
-
[Publications] 笹川和彦(長谷川昌孝,坂真澄,阿部博之): "エレクトロマイグレーション損傷支配パラメータを用いた表面に保護膜を有する多結晶配線の断線予測法"日本機械学会第13回計算力学講演会講演論文集. No.00-17. 679-680 (2000)