2001 Fiscal Year Annual Research Report
相変態過程の微視的解析とそれに基づくメゾおよびマクロな相変態モデルの構築
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12750072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 拓也 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (50311741)
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Keywords | 相変態 / 変態・熱・力学 / 分子動力学 / フェーズフィールド法 / 結晶成長 / デンドライト / 形状記憶効果 |
Research Abstract |
相変態過程の微視的解析としては,分子動力学法による解析を行い,メゾおよびマクロな解析への展開として,フェーズフィールド法による解析を行った.フェーズフィールド解析は,デンドライト成長のようなメゾスケールでの相変態特性を表すとともに,分子動力学法による離散的扱いと,マクロな連続体モデルヘの展開モデルとして効果的であることを示した.具体的には以下の通りである. 微視的解析:微視的解析手法には分子動力学法によるシミュレーションを用い,固液相変態を対象として,固液界面の安定性,界面エネルギー,固液平衡温度,結晶成長のカイネティックス係数,およびそれらの結晶方位依存性などについて,原子レベルからの解析を行った.また固相変態についても,Ni-Al系合金のマルチンサイト変態に関するシミュレーションを行い,せん断型の相変態が進行する過程を原子レベルで明らかにするとともに,実験的に得られている応力ひずみ関係のヒステリシスループを再現するなど,マクロなモデルと定性的な一致を示した. メゾ・マクロな相変態モデル:微視的解析結果を基に,実験的に観測される相変態特性や物性を再現するため,フェーズフィールドモデルによる解析を行った.微視的解析によって得られた結果を基に,フェーズフィールドモデルに必要なパラメータを算出し,結晶方位に依存した異方性を導入することによって結晶成長過程のシミュレーションを行った.その結果,界面エネルギーとカイネティックス係数の異方性の大きさによって,得られる結晶の形態が大きく異なることを明らかにした.すなわち,界面エネルギーの異方性が相対的に大きいときには,ファセット状の平らな界面をもつ結晶形態となり,カイネティックス係数の異方性が大きいときにはデンドライト状の成長をみせることを明らかにした.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 上原拓也: "温度変化に伴うNiAl系合金の固相変態過程における原子挙動の解析"日本材料学会第50期通常総会講演会講演論文集. 283-284 (2001)
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[Publications] 上原拓也: "結晶方位による異方性を考慮したデンドライト成長過程のフェーズフィールドモデル解析"日本機械学会2001年度年次大会講演論文集. I. 73-74 (2001)
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[Publications] 上原拓也: "結晶成長過程における固液界面特性の分子動力学解析とそのフェーズフィールドモデルヘの応用"日本金属学会2001年秋期大会講演概要集. (発表予定). (2001)
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[Publications] Takuya Uehara: "Phase-Field Simulation of Dendritic Growth by Use of Material Parameters Identified by Molecular Dynamics Method"The 7^<th> Asian Foundry Congress. (発表予定). (2001)