2000 Fiscal Year Annual Research Report
小型試験機を用いた連続繊維強化複合材料の力学的特性に関する研究
Project/Area Number |
12750077
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
青野 雄太 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70264075)
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Keywords | 複合材料 / 単繊維 / ストランド / 引張強度 |
Research Abstract |
小型引張試験機を製作し、E-glass繊維(旭ガラス)と炭素繊維(三菱24ton)の単繊維引張試験を行なった。いずれの引張強度もバラツキが大きいことが知られており、40〜50本の試験を行なうことでその分布を求めた。走査型電子顕微鏡で破面を観察した結果、詳細は確認できなかったものの、なんらかの欠陥により強度が決まっていることが分かった。したがって、単繊維の強度には最弱リンクの考え方が適用でき、最小値の分布を表わすのに適しているWeibull分布をあてはめその母数を求めた。E-glassについてm=2.82,η=1.34、炭素繊維についてm=3.40,η=3.01が得られた(mは形状母数、ηは尺度母数、引張強度の単位はGPa)。形状母数mの値は通常の金属材料では考えられないほど大きい。荷重の再分布を考慮すれば上記のWeibull分布を利用して、多数本の繊維束の強度を、函数σ_<strand>はσ{1-F(σ)}の最大値として求めることができる(ここでσは公称負荷応力、FはWeibullの累積分布函数)。それぞれの繊維についてストランドの強度を求めるとE-glassは651[MPa]、炭素繊維は1.56[GPa]となる。E-glassについてはストランド(約1200本の繊維)の引張試験を行ない695[MPa]の強度を得た。ストランドの強度はFRPの強度より小さく、単純な複合則は成立しない。FRPの強度を正確に予測するためにはマトリクスの影響を考慮する必要がある。
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