2000 Fiscal Year Annual Research Report
流体で満たされた地下き裂のき裂先端から流体が漏れる場合に生じるき裂の動的応答解析
Project/Area Number |
12750080
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 伸 秋田県立大学, システム科学技術学部, 講師 (10315640)
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Keywords | 地熱 / き裂 / 振動特性 / き裂先端 / き裂内流体 / 漏れ / 地熱貯留層 |
Research Abstract |
平成12年度は、主に地熱抽出に用いられる地下き裂に関する情報、特に地下き裂内部における流体の挙動に関する情報を収集したうえでき裂モデルの基本的概念を形成し、それを基礎としてき裂先端からの流体の漏れを考慮した二次元き裂モデルを構成し、また、円板状き裂モデルの構成に着手した。 き裂モデルは、収集した情報を基に、地下き裂評価への応用を考慮して簡便なものとなるように構成した。き裂モデルにおいて、き裂は透水層に沿って存在しており、き裂が加振された場合にはき裂内流体は振動によりき裂先端から隣接した透水層へ出入りするものとする。き裂内流体のき裂先端から透水層への出入りについては、透水層内の流体の運動を解析することにより得られる。透水層内の流体の運動については、Darcy則と質量保存の法則とを用いて表せる。以上のように構成した二次元き裂モデルを用いて、地下き裂の振動特性へのき裂先端における流体の漏れの影響について検討した。これにより得られた知見を要約すると次のようになる。 1.き裂先端からの流体の漏れが大きくなるにつれ、固有角振動数は小さくなる。流体の漏れがないときに生じるN次振動モードの振動の形状、ならびに固有角振動数は、き裂先端からの漏れが大きくなるにつれ、き裂先端で流体が自由に出入りする場合の(N-2)次振動モードの形状、ならびに固有角振動数に変化する。 2.き裂の振動特性へのき裂先端からの流体の漏れの影響は、き裂上下面が部分的に接触し、き裂開口幅が大きく、き裂開口幅に対するき裂長さの比が小さく、流体の粘性が小さいほど強い。 3.き裂先端からの漏れが小さい場合には、き裂先端からの流体の漏れが大きくなるにつれ振動の減衰の強さは強くなる。逆に、き裂先端からの漏れが大きい場合には、き裂先端からの流体の漏れが大きくなるにつれ振動の減衰の強さは弱まる。
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