2000 Fiscal Year Annual Research Report
炭素繊維ミルドファイバーを用いたマイクロ複合材料構造体の創製と評価に関する研究
Project/Area Number |
12750084
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
日下 貴之 立命館大学, 理工学部, 助教授 (10309099)
|
Keywords | マイクロマシーン / 複合材料 / 炭素繊維 / 物性評価 / 寸法効果 / 複合効果 |
Research Abstract |
本研究では,炭素繊維ミルドファイバー(微細炭素繊維)をマイクロ機械要素に応用することを試みた.研究の主たる狙いは,近年開発が盛んなマイクロ機械要素の強度特性,耐久性,信頼性などの向上を図ることであったが,熱的変形の抑制,成形時の寸法安定性,電気的特性などの面でもメリットがあることが明らかになった.今年度は,特に,弾性率,強度などの機械的特性に及ぼす繊維含有率の影響について,実験および数値計算によって検討したが,弾性率については,炭素繊維ミルドファイバーを含有することによって大幅な改善が図れることが明らかになった.従来,繊維強化複合材料では,繊維含有率と弾性率あるいは強度の関係が複合則と呼ばれる理論式によって予測されてきたが,今回の結果は,従来の理論予測より大きな効果が得られるというものであった(ただし,強度については理論予測程度の効果が得られたのみであった).これは,従来の複合材料が用いられてきた高速輸送機関や建築構造物などに比べてはるかに微小なサイズの機械要素を対象としたことによると考えられ,いわゆる寸法効果を考慮した理論の適用が必要であることが示唆された.今後,数値解析などによって,このような寸法効果の現出要因を解明するとともに,微小歯車などの簡単な機械要素を試作・評価することを試みる.また,今年度は,熱的変形や寸法安定性などの定量的な評価を実施するに至らなかったが,次年度はこの点を明らかにすることにも重点を置く.
|