2000 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブを用いた射出成形による高機能樹脂成形品の開発
Project/Area Number |
12750092
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安原 鋭幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70282829)
|
Keywords | カーボンナノチューブ / 射出成形 / 電気的特性 / 機械的特性 / 繊維配向 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotube:CNT)のモデル材料として長さおよび直径がCNTの10倍(長さ200nm,直径10μm)である気相成長炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)を汎用ポリスチレン樹脂に混ぜ,射出成形することにより成形品の電気的・機械的特性の向上についての検討を行った.成形用材料は2軸の混練機によってポリスチレンにVGCFを0.4,2.0,6.0,10wt%混ぜたものを細かく砕いて作製した.成形には汎用の射出成形機(型締め力35tf)を用い,成形品のサイズは厚さ0.3,0.5mm,長さ80mm,幅20mmである.抵抗値測定,静電電圧測定により電気的特性を,曲げ試験により機械的特性を実験的に調べた.結果を以下に要約する. ・2軸の混練機により10分の混練をすることによりVGCFはポリスチレン内にほぼ一様に分散した. ・射出成形を行うにあたりVGCF含有ポリスチレンの粘度を測定した結果,10wt%の材料では粘度が約5%増加した. ・成形品の断面を観察した結果,ほぼ全域でVGCFが流動方向に配向していた. ・低い射出速度で成形した場合,VGCFの体積充填率が3%〜6%の間で抵抗率が5×10^5〜1.5×10^2_Ωまで急激に低下することがわかった.また,帯電量も充填量の増加とともに減少することがわかった. ・射出速度が高くなると表面近傍の繊維が流動方向に向いてしまいVGCFが表面に突出しないため電気的特性の向上は見られなかった. ・充填材であるVGCFが微細なため機械的特性が低下することが予想されたが,10wt%以下の充填量では機械的特性はほとんど変化がなかった. ・VGCFを用いることにより従来よりも少量の充填材で導電性を付与することができた.
|
-
[Publications] 榎木和城,安原鋭幸,大竹尚登,加藤和典: "カーボンナノチューブ含有樹脂の射出成形"ニューダイヤモンドフォーラム第14回ダイヤモンドシンポジウム講演要旨集. 114-115 (2000)