2001 Fiscal Year Annual Research Report
EHLグリース油膜のトライボロジ特性に起因した玉軸受の異常振動に関する研究
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12750121
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
板垣 貴喜 木更津工業高等専門学校, 機械工学科, 助手 (00290718)
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Keywords | 転がり軸受 / グリース / トライボロジー / 潤滑 / 自励振動 / 強制振動 / 異常音 / 保持器 |
Research Abstract |
異常振動の発生に伴って,うなり的な異常音が発生する事が知られている.異常振動と異常振動に付随して発生する音の関係については不明な点が多く,十分に解明されていない.そこで,異常振動に付髄して発生する音を詳しく研究し,異常振動の発生メカニズムに及ぼす影響などを探った. 実験は実験室の温度を一定にした状態で,振動と音を同時測定し,異常音および異常振動の発生状況を調べた.また,振動と音の周波数分析を行った.グリースは3種類用意した.次に,保持器の挙動と音の関係を調べるため,保持器の軸方向および半径方向の振動と音の同時測定を行った. これらの実験結果から考察し,以下のような結論を得た. (1)異常振動に付随して発生する音には,ワーン音とカチャカチャ音の二つがある. (2)ワーン音は異常振動が発生するときのみに生じ,ワーン音と異常振動の時間に対する発生と消滅のパターンはグリースの種類によって異なる. (3)ワーン音は,玉と軌道面間に存在するグリースのせん断応力τとせん断速度γの特性によって発生する異常振動が空気に伝播して生じたものと考えられる. (4)カチャカチャ音は,正常振動および異常振動の両方で発生するが,異常振動が生じた場合にカチャカチャ音の音圧は増加する.また,カチャカチャ音が完生する際には,音のタイムエンベロープに保持器の回転周波数f_cの逆数l/f_cを繰返し周期とした音圧の増減が生ずる.なお,保持器を取り除いて軸受を回虹させた場合,カチャカチャ音は発生しない. (5)カチャカチャ音は,玉と保持器がl/f_cを繰返し周期として軸方向または半径方向に衝突することにより,外輪が傾き方向に衝撃的な振動を生じ,これが空気に伝播して発生すると考えられる. 以上を論文としてまとめ,現在,日本機械学会誌に投稿準備中である.
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