2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750138
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉元 宏 京都大学, 工学研究科, 講師 (50222055)
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Keywords | 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / 分岐 / 安定性 / テイラー・クエット流 / 蒸発・凝縮 / 熱遷移流 / 真空ポンプ |
Research Abstract |
1.蒸発・凝縮を伴うテイラー・クエット問題の数値解析:円筒表面で蒸発・凝縮を伴うテイラー・クエット問題を取り上げ,その低クヌーセン数における振舞について,ボルツマン方程式に基づく直接シミュレーション(DSMC)法による数値解析を行った.以前からの研究によって,この問題では,軸方向一様のクエット流に2通りに分岐が生じること,また,十分クヌーセン数が小さい場合には,軸方向に一様という制限が無い場合には渦流が生じ,3通りに分岐が生じることが分かっていた.本年度の研究では,軸方向一様のクエット流に分岐が無い場合でも,渦流が存在することが明らかになった.渦流タイプの解で,渦が弱い場合にはクエット流に近づくが,その場合の数値計算結果には非定常的な振舞が現れる.この現象は,現在のDSMC法による解析精度の不足が原因として考えられる.その確認のためには,より大規模な計算が必要である.このため,小型の並列計算機を購入し,DSMC法の並列計算方法の開発に着手している. 2.分子流効果を用いたポンプの開発への応用:近年,分子流効果(熱遷移流)を利用した,非機械式ポンプが数種類提案されている.このポンプの流れの解析に,上で開発中の計算方法を適用して数値解析を行い,この非機械式ポンプの実用可能性が高いことを明らかにした. 3.分子流効果を用いたポンプの試作:上記2の数値解析結果に基づいて,効率的な真空ポンプの形状を検討し,その結果に基づいて真空ポンプの試作を開始した.現在までのところ,数値計算結果から予想される性能と同程度の結果が得られている.
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