2000 Fiscal Year Annual Research Report
界面に生じる流体現象の非平衡分子動力学-連続体力学結合モデルによる解明
Project/Area Number |
12750141
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 賢一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90294032)
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Keywords | 分子動力学法 / 非平衡力学 / 粒子法 / 計算力学 / 液体 / 界面 / クラスター / 対話型シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では主に計算機による数値シミュレーションを行ない、界面現象解明のための力学モデルの構築を行なった。数値シミュレーションには、粒子系に対する非平衡分子動力学(NEMD)法およびsmoothed particle hydrodynamics(SPH)法を適用した。本年度計画し、実行した詳細テーマは以下の通りである。それぞれに対して、対外的な研究発表を行っている。 (1)加熱金属表面を液体流動により冷却する過程の分子動力学(MD)モデルの構築 (2)粒子モデルへの適用を見据えたMD法への多重解像度手法の適用 (3)SPH法の基礎的検討および対話的シミュレーション方法の検討 (1)では、確率的流入境界条件および自由流出境界条件を提案し、MD法に適用することで、熱・物質ともに系内への流入流出を可能にし、NEMDモデルが実現できることを証明した。また、このような分子オーダーの大きさになると、流体としての流れ場があっても液体分子固体表面との相互作用は大きく、場合によっては固体を移動させる程の力を及ぼし得ることを見出した。(本報告書項目11、雑誌論文の1,4,6) (2)では、数十個から数千個の原子からなる原子ナノクラスター同士の相互作用過程に対して、クラスター全体の剛体運動の力学方程式と、接触領域での通常のMD法に用いられる原子間運動方程式と、を同時に解く、多重解像度MD法を提案した。MD法のみによる結果と比較し、運動量・角運動量保存などを考慮することで適切な精度を維持できることを確認した。(本報告書項目11、雑誌論文の3,5) (3)では、シミュレーション実行時に、対話的に計算条件・境界条件・表示条件の変更を行う対話的SPHシミュレーションを提案し、以前から研究代表者が提案してきている対話型MDシミュレーションと同様なシミュレーション手法が可能であることがわかった。これにより、本研究に今後必要となるMD法と連続体力学的手法の具体的な結合方法の一案が提案できると予想される。(本報告書項目11、雑誌論文の2および発表予定のもの)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ken-ichi Saitoh: "Nonequilibrium molecular dynamics study of heat transfer on metal surface by flowing liquids"Proc.of the IASTED int.conference, Applied Simulation and Modelling (ASM2000),, Banff, Alberta, Canada (Ed.M.H.Hamza), Acta Press. 298-303 (2000)
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[Publications] 齋藤賢一: "多重解像度を持つ対話型分子動力学法に関する研究"可視化情報. Vol.20 Suppl.No.1. 43-46 (2000)
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[Publications] 齋藤賢一: "原子集合体の動力学と多重解像度MD法の適用"日本機械学会講演論文集(2000年度年次大会). No.00-1(II). 39-40 (2000)
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[Publications] 齋藤賢一: "ナノ空間に制約された窒素分子流動の非平衡分子動力学"日本機械学会講演論文集(第78期流体工学部門講演会). No.00-14. 205 (2000)
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[Publications] 上大田孝: "金属原子クラスター生成・合体・成長過程の分子動力学シミュレーション"日本機械学会講演論文集(第13回計算力学講演会). No.00-17. 381-382 (2000)
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[Publications] 難波永: "高熱流束をうけるシリカ表面の非平衡分子動力学過程"日本機械学会講演論文集(第13回計算力学講演会). No.00-17. 615-616 (2000)