2000 Fiscal Year Annual Research Report
環境対応型熱エネルギー変換システムの基礎研究-冷媒の凝固メカニズムに関する研究-
Project/Area Number |
12750155
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宝積 勉 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30293038)
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Keywords | 凝固 / 水 / 過冷却 / 氷 / 衝撃波 / 氷核発生 |
Research Abstract |
水への動的な外乱の付与は、過冷却水の凝固に最も効果的な方法の一つである。本研究では、微弱な衝撃波を付与することによって、過冷却水を凝固させ、その効果・メカニズムについて検討することを目的としている。本年度は、過冷却水に衝撃波を付与し、凝固に与える影響を観察・分析した。サンプル容器には円柱型のシリンジを採用した。シリンジ内部には超純水1cm^3が注入されており、水上面をオイルで覆われた構造になっている。また、シリンジ全体は冷却槽内に一定過冷度で保持されている。このオイル上面にピストンを落下し、オイルおよび水の内部に衝撃波を伝播させ、サンプル温度および衝撃波の圧力を測定した。実験装置は温度測定系、衝撃波測定系および氷核発生箇所の観察系の3つに区分される。温度測定系では、サンプルの温度を熱電対で随時測定し、凝固した温度を決定した。氷核発生箇所の観察系では、サンプルの映像を高感度ビデオカメラで記録すると共に、衝撃付与から凝固までの時間を測定した。衝撃波測定系では、圧電素子によって衝撃波の圧力および付与時間を測定した。一方、衝撃波を付与しないサンプルについても実験を行い、一定冷却速度で冷却後、自然解消する温度を凝固温度とした。以上の衝撃を付与した場合と付与しない場合の実験を複数のサンプルについて行った。この時、サンプル毎に様々な強さの衝撃波を付与し、比較した。実験結果を整理すると、衝撃波を付与しない場合、平均過冷度12Kで自然解消した。一方、衝撃波を付与した場合は、過冷度1K〜5Kの範囲で、比較的高い圧力の衝撃波を付与した場合にほぼ100%凝固し、低い圧力の衝撃波を付与した場合はほとんど凝固しないことがわかった。来年度は得られた結果から、凝固メカニズムについて検討する予定である。
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