2000 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子電解質膜内に分布する水分子の磁気共鳴イメージングによる測定
Project/Area Number |
12750158
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 衡平 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10283491)
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Keywords | 固体高分子電解質膜 / 拡散係数 / 水分子 / 重水 / 磁気共鳴イメージング |
Research Abstract |
固体高分子電解質(SPE)膜を応用した燃料電池などの電気化学機器の性能は、SPE膜内の湿潤状態に著しく左右される。しかしこれまでに、SPE膜内の水分子の分布やその輸送機構は明らかにされてない。そこで、核磁気共鳴イメージング法(MRI)を使い、SPE膜内の水分子分布を実測し、得られた結果から膜内水分子の輸送機構を考察し、輸送モデルを構築することを最終目標に、平成12年度は、以下の様に研究を進め、成果を得た。 電極をつけない簡単なセルを製作し、流路に空気や水を流して膜内に非一様な水分布つくり、膜内水分布の測定をMRIにより試みた。バルクの水からの信号が大きく、SPE膜内からの水分子の信号のS/Nが得られず、当初の測定は失敗した。そこで水(軽水)と性質が同等で、磁気共鳴信号を生じない重水を流路に流し、SPE膜に浸透させることでS/N比の向上に成功した。その後、SPE膜の各断面のH-NMRスペクトル強度や中心周波数をMRIより測定し、SPE膜内のH2O濃度分布とH2O+D2O濃度分布の100μm空間、15s時間分解能の観測に成功した。さらに、実験条件に対応させた非定常一次元拡散方程式の解析結果と比較検討し、湿潤膜を初期条件とした場合では、膜内では水分子と重水分子の相互拡散が生じ、その拡散係数が0.8×10^<-10>m^2/sであると考察された。乾燥膜を初期条件とした場合には、初期段階で移流的な、その後拡散的な水分子輸送が生じ、等価的な拡散係数が5×10^<-10>m^2/sであると考察された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊藤衡平,小川邦康: "D20に浸した固体高分子膜内を移動する水分子のMRI計測"第37回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 937-938 (2000)
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[Publications] 伊藤衡平,小川邦康: "CSI法による固体高分子電解質膜内水分子の濃度分布測定と輸送係数の算出"第5回 NMRマイクロイメージング研究会. 28-31 (2000)