2000 Fiscal Year Annual Research Report
カオス理論に基づく時系列短期予測法と並列処理を用いた機械構造系の予測制御
Project/Area Number |
12750193
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
増本 憲泰 早稲田大学, 理工学部, 助手 (80312081)
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Keywords | 振動制御 / ディジタル制御 / カオス / 時系列予測 / 予測制御 / 並列処理 |
Research Abstract |
本研究は,カオス理論の工学的応用技術の一つとして知られる時系列の決定論的非線形短期予測法(以下,簡単にカオス短期予測法と称する)を用いた機械構造系の予測制御法を,実機に適用するための基礎的研究である.予測制御法では,制御対象の近い将来の外乱値や出力値がカオス短期予測法によって算出され,得られた予測値を有効利用して制御入力が得られる.以上のような予測制御法は,主として機械構造系のリアルタイム振動制御のための一手法として開発されてきたが,数値計算による検討はある程度行われているものの,実用可能性についての検討はこれまでほとんど行われていなかった.予測制御法の実機への適用における最大の課題は,計算機での予測値ならびに制御入力の算出時間短縮化である.このような問題の一つの解決策として,本研究では複数のCPUあるいは複数台の計算機を利用することによって計算機あるいは計算機ネットワークの処理能力を向上させる並列処理技術に注目し,1年目の平成12年度は比較的廉価な2個のCPUを搭載した計算機上に並列処理予測制御システムを構築することを目的として研究を進めた. 本年度の研究目的を達成するために必要なオペレーティングシステムとしては,現在ではLinuxとWindows NTが主として用いられており,本研究ではLinux環境において予測制御法を並列化した.並列化の際には標準的に用いられている並列化ライブラリmpiを用いた.これまでの研究で既に開発されている予測制御プログラムを並列処理用に修正し,同一のCPUを1個用いた場合と2個用いた場合の制御入力算出時間の比較を行った結果,現時点では並列処理によって計算時間の数パーセントの短縮化が達成されている.また,Windows NT環境における並列処理予測制御システムの開発についても並行して行っているが,未だ完成には至っていない.いずれのオペレーティングシステム環境においても,さらなるプログラムの効率化をはかっている段階であり,平成13年度初頭には十分な短縮化をはかる計画である.また,これまでの研究成果について来年度8月に開催される日本機械学会2001年度年次大会およびDynamics and Design Conference 2001にて研究発表を行う予定である.
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