2000 Fiscal Year Annual Research Report
放射光源を用いた高分解能・低損傷エッチングの開発及び半導体低次元構造作製への応用
Project/Area Number |
12750267
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
野々垣 陽一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40300719)
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Keywords | 放射光励起脱離 / Si(III)基板上SiO_2 / STM観察 / 微傾斜Si(III)基板 |
Research Abstract |
半導体ナノ構造作製において、従来のドライエッチングに比べ低損傷なエッチング法を開発することは、非常に重要である。放射光を用いた光化学反応によるエッチングは、イオン衝撃が無いため低損傷であること、光の直進性により垂直エッチングが可能なことから期待されている。本研究課題では、重要かつ基本的な材料系であるSi(III)基板上SiO_2のエッチングを取り上げ、その放射光励起脱離反応をSTMにより直接観察することを目的とした。 Si基板上のSiO_2は通常、基板を850℃以上に過熱し、熱脱離により除去する。それに対し、放射光照射下では650℃という低温でも脱離が起きることが、今回のSTM観察から分かった。さらに、SiO_2除去後の表面が原子レベルで平坦であることから、通常の熱脱離とは異なる脱離機構をとることが分かる。また、SiO_2除去後の表面で熱平衡表面特有の特徴的なステップ構造が見られ、放射光照射の表面拡散促進効果を示唆する結果も得られている。 熱脱離と放射光励起脱離の反応機構の違いを調べる糸口として、Si基板表面の面方位を(III)から僅かに傾けた微傾斜基板を用い実験を行った。微傾斜角により表面拡散原子の数を変化させ、放射光照射による拡散原子数の変化を系統的に調べるためである。実験は進行中であり、4°傾けた基板のみに対して初期的な結果を得ている。熱脱離と放射光励起脱離による表面のSTM観察像はほとんど変わらず、ほぼ熱平衡に近い表面が得られていると思われる。これは4゜と言う比較的大きな傾斜角により、拡散原子数が非常に多くなり、放射光により生じる拡散原子の数を大きく上回った結果だと考えられる。 来年度は、さらに異なる傾斜角の基板を用い詳細な実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Nonogaki,Y.Gao,H.Mekaru,T.Miyamae and T.Urisu: "Nanostructure formation on Si(III) surface assisted by synchrotron radiation illumination-characterization by scanning tunneling microscopy-"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. (発表予定).