2000 Fiscal Year Annual Research Report
フラットパネルディスプレイ用高効率発光ナノ結晶薄膜半導体の開発
Project/Area Number |
12750270
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外山 利彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (10294159)
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Keywords | ナノ結晶 / 電界変調分光法 / 電子-正孔対 / 電子構造 / 直接遷移 / 3次元バンド構造 / 量子閉じ込め効果 / 平均粒径 |
Research Abstract |
本年度は、高効率発光ナノ結晶半導体の構造制御技術を確立するための第一ステップとして、変調分光法を中心とした光学測定により光学遷移特性を精密に評価し、高効率発光ナノ結晶半導体、特に薄膜ナノ結晶シリコン(nc-Si)の電子構造に関する知見を得るための研究に重点に置き、研究データの積み上げを図った。作製方法は、大面積化に有利なプラズマCVD法を用い、プラズマCVD法により作製した薄膜Siを陽極化成法により後処理を行うことにより赤色発光を得た。加えて、いわゆるポーラスシリコンの作製方法を応用して、単結晶シリコン基板を厚さ100nm程度だけ陽極化成した薄膜nc-Siの作製評価を行った。構造評価法としては、高分解能透化型電子顕微鏡により、薄膜PSi断面を観測し、その平均粒径ならびに粒径分布を定量化した。また、紫外光励起顕微ラマン散乱測定で得られた、ラマン散乱スペクトルの解析と整合性があることを確認した。さらに、電界変調(ER)分光法による微分反射スペクトルを測定を行い、薄膜nc-Siの電子構造に関する知見を得た。ER分光法は、電界による吸収係数の変化分を測定するため、構造変化による電子構造変化を鋭く検知し、半導体の光学遷移解析に有効であることがよく知られているが、本研究で初めて、薄膜nc-Siの電界変調信号を観測し、nc-SiにおいてもER分光法が有効であることを確認した。ER測定の結果、全てのnc-Siにおいてもバルクライクな3次元バンド構造が残存することを確認した。従って、薄膜nc-Siにおける光学遷移は基本的には"間接遷移"であると推察される。このことは、他研究機関において報告されている2Kにおける共鳴PLスペクトルにフォノン構造が発現することと整合する。一方、平均粒径1-3nmのナノ結晶を含有する試料においては、量子閉じ込めによる電子-正孔対に関連した直接的な光学遷移がER法により初めて観測された。この遷移の詳細を明らかにし、制御することが高効率発光ナノ結晶を得るための本質であると結論づけられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] D.Adachi,S.Hasui,T.Toyama and H.Okamoto: "Structural and luminescence properties of nanostructured ZnS : Mn"Applied Physcs Letters. 77. 1301-1304 (2000)
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[Publications] T.Toyama,Y.Kotani,A.Shimode,S.Abo and H.Okamoto: "Optical Transitions in Light-Emitting Nanocrystalline Silicon Thin Films"Material Research Society Symposium Proceedings. 557. 469-474 (2000)
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[Publications] T.Toyama,Y.Kotani,A.Shimode and H.Okamoto: "Fundamental Gap of Luminescent Nanocrystalline Silicon Thin Film"Journal of Non-Crystalline Solids. 266-269. 593-597 (2000)
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[Publications] T.Toyama,A.Shimode and H.Okamoto: "Electroreflectance Study of Light-Emitting Porous Si Thin Films"Material Research Society Symposium Proceedings. 609(発表予定). (2001)
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[Publications] T.Toyama,D.Adachi and H. Okamoto: "Electroluminescent Devices with Nanostructured ZnS : Mn Emission Layer Operated at 20 V_<0-P>"Material Research Society Symposium Proceedings. 621(発表予定). (2001)
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[Publications] T.Toyama,Y.Nakai and H.Okamoto: "Electroreflectance Study of Porous Si Made from Substrates with Different Resistivities"Material Research Society Symposium Proceedings. 638(発表予定). (2001)