2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750294
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
小山 英樹 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (40234918)
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Keywords | ポーラスシリコン / 多孔質シリコン / シリコン微粒子 / 偏光メモリー / 光学的異方性 / 偏光素子 / シリコン光集積 / フォトルミネッセンス |
Research Abstract |
本研究は,ポーラス(多孔質)シリコン中のシリコン微粒子のもつ光学的異方性を利用し,これまでにない新しい偏光制御素子を開発することを目的とするものである.異方性を構造によりもたせるもの(スタティックな異方性)と,電気的あるいは光学的に一時的に異方性を誘起するもの(ダイナミックな異方性)の2つのアプローチにより研究を進め,本年度においてはそれぞれ次のような成果が得られた. ダイナミックな異方性の光学的励起に関しては,その発光特性の異方性(偏光メモリー現象)を本研究で整備した新しい光学測定系にて確認することができた.しかし,電気的特性(光導電率)の評価からは異方性の発現を確認することができなかった.これは,励起に用いた直線偏光の強度が不十分であることなどが原因としてあげられる.この点については次年度も引き続き検討する予定である. なお,本研究において,レーザー光を試料に照射し続けたところ,偏光メモリー特性が変化し,結晶方位依存性が現れることが確認された.このような結晶方位依存性は熱酸化した試料においては確認されているが,レーザー光照射で確認されたのははじめてである.この事実は,ポーラスシリコンの発光におよぼすレーザー照射効果についての定説を覆す可能性があり,重要である. スタティックな異方性の形成に関しては,ポーラスシリコン作製時(陽極化成中)の直線偏光照射による方法を試みた.この方法はPolisskiらにより提案されたものであるが(Appl.Phys.Lett.Vol.70,p.1116,1997),今のところ追試に成功した例は報告されていない.本研究においても,種々の条件(基板,光強度,波長,化成電流密度等)で実験を行ったが,検出可能な異方性の形成には至らなかった.この結果はPolisskiらの実験結果に関して疑問を投げかけるものであり,さらなる詳細な検討が必要とされる.
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