2000 Fiscal Year Annual Research Report
制御理論を利用した効率的なトランスポート層通信ブロトコルの研究開発
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12750334
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大崎 博之 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助手 (00294166)
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Keywords | インターネット / TCP Vegas / ウィンドウ型フロー制御 / 安定性 / 過渡特性 / 公平性 / 制御パラメータ |
Research Abstract |
現在広く使用されているTCP Renoよりも、良い性能を示すTCPの実装例として、TCP Vegasが提案されている。これまで、ネットワーク中に単一のボトルネックルータが存在する場合を対象として、TCP Vegasにもとづくウィンドウ型フロー制御方式の特性解析を行ってきた。平成12年度では、これらの解析手法を拡張することにより、多段接続されたネットワークにおいて、ネットワーク中に複数のボトルネックルータが存在する場合を対象とした解析を行った。 TCPのウィンドウ型フロー制御方式は、各TCPコネクションがそれぞれ独立にフロー制御を行う、分散型の制御である。このため、TCPコネクション間の公平性を実現することは一般に容易ではない。そこでまず、多段接続されたネットワークにおける、TCPコネクション間の公平性について検討を行った。定常状態における送信側ホストのウィンドウサイズや、ルータのバッファ内パケット数を導出し、TCPコネクション間の公平性を実現するために、制御パラメータをどのように設定すべきかを明らかにした。その結果、TCP Vegasでは、経由するボトルネックリンクの数が多くなるほど、TCPコネクションのスループットが低下することが分かった。 また、TCPのウィンドウ型フロー制御方式は、ネットワークの輻輳状況に応じて送信側ホストのウィンドウサイズを調整する、フィードバック型の制御である。このため、制御パラメータの値が不適切であれば、ネットワークの動作が不安定となりうる。そこで、現代制御理論を適用することにより、ウィンドウ型フロー制御方式の制御パラメータと、ネットワークの安定性および過渡特性の関係を定量的に明らかにした。その結果、経由するボトルネックリンクの数が多くなるほど、そのコネクションのウィンドウサイズの変化がネットワーク全体の安定性に与える影響が小さくなることが分かった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Keiichi Takagaki,Hiroyuki Ohsaki and Masayuki Murata: "Stability analysis of a window-based flow control mechanism for TCP connections with different propagation delays"Proceedings of INET 2000 : The Internet Global Summit. (2000)
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[Publications] Keiichi Takagaki,Hiroyuki Ohsaki and Masayuki Murata: "Analysis of a window-based flow control mechanism on {TCP Vegas} in heterogeneous network environment"IEEE International Conference on Communications. (2001)