2000 Fiscal Year Annual Research Report
大気・電離層揺らぎが広帯域・高速Ka帯衛星通信に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
12750340
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤崎 清孝 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (20253487)
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Keywords | 衛星通信 / VSAT / Ka帯 / 信号減衰 / ビットエラー / 通信障害 / 降雨減衰 / 電波伝搬 |
Research Abstract |
Ka帯を用いた高機能・高品質の通信を簡易なシステムで実現するための基礎研究として,今年度は,(1)伝搬路中の媒質を不均質乱流媒質とみなし,ランダム媒質中の多重散乱理論を適用して,ビーム波がスポットダンシング状態にある状況下の伝搬路状態がビット誤り率に及ぼす影響の解析を行った.その結果,Ka帯においては,電離層媒質は,その特性が搬送波周波数の4乗に反比例するため,影響が殆ど無視できる状態となる.一方で大気媒質に対しては,電磁波の波長が短くなるために媒質の影響が大きくなることが示された.この数値解析を行う際,大気乱流媒質の揺らぎ特性を評価する相関関数として,数値演算を簡単化するために良く用いられているガウス分布を持つモデルと実際の大気を表現しているといわれるコロモゴルフ型の乱流モデルの二つのモデルを用いて解析を行った.結果として,大気乱流媒質が電波伝搬に及ぼす影響については,伝搬問題を評価する場合にもコロモゴロフ型の乱流モデルを用いた結果が,適当であることが示された.今後は,この解析にシンチレーションの影響などを加えることにより,より実際的な問題に設定し,評価を進める.更に,(2)本研究室の所有する複数のVSAT(Very Small Aperture Terminal)衛星通信システムを用いて,様々な気象条件下のKu帯の伝搬データを取得した.更に気象の状態と実際の伝搬特性との相関を見つけるべく,気象観測衛星ひまわりやアメダスなどの気象情報を取得するシステムを用いて気象データの取得を行った.これらのデータは膨大な量となるため,今後,本研究費で購入した高速数値演算ワークステーションを用いて解析を進め,統計的性質を明らかにしていく.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 山田,藤崎,立居場: "大気の揺らぎによる衛星通信のビット誤り率の解析"平成12年度電気関係学会九州支部連合大会. 670 (2000)
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[Publications] 片岡,岩田,石田,藤崎,立居場: "複数のVSATを用いた電波伝搬実験(II)"平成12年度電気関係学会九州支部連合大会. 671 (2000)
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[Publications] 山田,藤崎,立居場: "Ka帯衛星通信のビット誤り率に及ぼす大気乱流の影響の評価"電磁界理論研究会資料. EMT-00-96. 79-84 (2000)
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[Publications] 片岡,岩田,藤崎,石田,松岡,立居場: "VSAT衛星通信における航空機及び降雨の影響(2)"電子情報通信学会アンテナ・伝播研究会. AP2000-154. (2001)
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[Publications] 藤崎,片岡,石田,松岡,立居場: "VSAT衛星通信における伝搬特性の評価(III)"電子情報通信学会総合大会. (2001)
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[Publications] 岩田,藤崎,石田,松岡,立居場: "VSAT衛星通信における伝搬特性の評価(IV)"電子情報通信学会総合大会. (2001)