2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの運動制御における粘弾性調節機構の解明のための計測システムの開発
Project/Area Number |
12750387
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内山 孝憲 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50243324)
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Keywords | 筋 / 粘弾性 / 筋電図 / ヒト / 運動制御 / 筋活動 / EMG |
Research Abstract |
本年度は,計測システムの基本部分の構成および粘弾性の解析方法の基礎的検討を行った. 本研究では,筋の収縮力が変化しても筋の長さが変化しない,および筋の長さが変化しても筋の収縮力(実際には負荷の大きさ)が変化しない,という2つの条件の下で,計測を行う.そこで,ACサーボシステムを計算機に接続するための制御回路を製作した.筋活動をモニタするために,筋活動電位を計測するための回路を製作した.ACサーボシステムの制御と筋活動電位の計測を同時に行うためのプログラムを作成した. ヒトの特性は,一般的に非線形性を示すものが多い.運動制御に関しては,筋骨格系の構造に由来する非線形性と,筋の粘弾性の調節機構に由来する非線形性を切り分けて検討する必要がある.そこで,安静を維持するように意識している場合,肘関節をゆっくり伸展しても,意識のように筋活動が観測されない健常者と,筋活動の異常亢進(したがって大きな抵抗力が観測される)が認められる脳血管障害による片麻痺者を対象に,等負荷伸展実験を行った.健常者では,筋活動はほとんど観測されず,弾性係数が肘関節に依存する非線形項を付加することによって筋活動・関節角度・トルクの関係を近似できることができた.片麻痺者では,弾性係数がさらに筋活動に依存項を付加したモデルを構築することで,筋活動・関節角度・トルクの関係を記述する数学モデルを構築することに成功した.
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