2000 Fiscal Year Annual Research Report
超電導体の臨界電流密度・臨界磁場・臨界温度および電磁特性の同時測定に関する研究
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12750388
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
山崎 貞郎 工学院大学, 工学部, 助手 (60317344)
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Keywords | 高温酸化物超電導 / ペレット / SRPM法 / バイファラ巻き / 電子の平均自由行程 / 抵抗率 / 磁場侵入長 / 臨界電流密度 |
Research Abstract |
平板状(ペレット状)で試作される酸化物超電導試料の複数にわたる特性を迅速かつ簡単に評価するために,複合コイル形センサを組み込んだ測定法について,本年度はバイファラ巻きコイルを取り入れた測定法の研究を主として行った。 一度の測定で,試料の電気特性および磁気特性を同時に非接触で評価可能な本方法に欠かせない電磁界解析を先ず行い,試料の諸特性が反映される形の新たな理論式を導出した。複合コイル形センサが示す複素インピーダンス変化値から,試料の電気特性および磁気特性を同時に求められるようにするため,コンピュータ・シミュレーションによる解析も併せて行った。この理論に基づいて平板状の酸化物超電導試料を評価するための測定装置を試作し,ビスマス系2223相およびイットリウム系123相の高温酸化物超電導試料の温度依存性について本方法により評価した。試料温度に応じた抵抗率および磁場侵入長の変化や臨界電流密度・臨界温度は,従来の個別測定法による測定値と一致することが示され,本研究において導出した理論式の妥当性を確認することができた。 本方法を用いて超電導試料の周波数特性の評価も併せて行ったところ,微小交流磁場を印加した超電導試料の抵抗率が周波数特性を持つ領域が存在することがわかり,試料の表皮長と比較して試料内部の電子の平均自由行程が長い,異常表皮効果が生じる周波数帯についての基礎的な見知が得られた。また,本方法の迅速さおよび簡便さを活かし,焼結時間や冷間静水圧成形の回数など製作条件が異なる複数の試料評価においては,試料の最適製作条件について一定の傾向が示された。 本年度の研究では試料に印加した磁場は微小交流磁場にとどまったが,臨界磁場など超電導と常電導の境界条件に密接に関係した特性の測定を実現するために,次年度では強磁場を重畳させた場合における複合コイル形センサを組み込んだ測定法について研究を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山崎貞郎,中根央,根岸照雄,田中章雄: "Simultaneous Measurement of the Electrical and Magnetic Properties of a Superconductive Plate Sample with a Bifilar Winding Coil"Proceedings of the 17th IEEE Instrumentation and Measurement Technology Conference. 1198-1202 (2000)
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[Publications] 小平透,中根央,山崎貞郎,吉澤秀治,手塚勇,長谷山秀悦: "The Evaluation of Optimal Sintering Time by the SRPM Method for Obtaining Large Jc of Bi-2223 Bulk"Advances in Superconductivity XII (Proceedings of the 12th International Symposium on Superconductivity). 539-541 (2000)
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[Publications] 田口晃,中根央,山崎貞郎,長谷山秀悦,小田部荘司: "A Method for Simultaneously Evaluating the Electromagnetic Properties and Mean Free Path of Superconductor"Advances in Superconductivity XII (Proceedings of the 12th International Symposium on Superconductivity). 509-511 (2000)
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[Publications] 佐藤崇志,中根央,山崎貞郎,森夏樹,吉澤秀治: "焼結時間の異なるBi系超伝導体に対する揺らぎ伝導率の解析"工学院大学研究報告. 第89号. 55-59 (2000)