2000 Fiscal Year Annual Research Report
実用的な非線形制御系設計法とクレーンシステムへの応用
Project/Area Number |
12750395
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
劉 康志 千葉大学, 工学部, 助教授 (70240413)
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Keywords | 非線形システム / 非ホロノミック拘束 / 旋回クレーン / 車両のステアリング / 消散系 / リアプノフ関数 / 有限時間整定 / 大域漸近安定 |
Research Abstract |
本研究では、旋回クレーンの旋回運動や自動車のステアリング運動を包含する二つのクラスの非ホロノミック系に対する実用的な制御方法の開発を行った。多くの非線形制御研究では、一般的な非線形システムを対象にするため、必ずしも物理系特有の構造特性を考慮していない。しかし、応用の立場から考えると、物理系特有の性質を制御系設計に活用することによって、よりよい制御が期待できる。 具体的には,本研究では(1)対象となるシステムが消散系であり,(2)その非ホロノミンク拘束を仮想的に入力として捕らえると,それが常に定数ノルムを持つ、という二つの構造的特徴に着目した。そこで、(1)まず定数ノルムに拘束される仮想入力を設計し,(2)それからBackstepping法で実際の制御入力を設計する、という二段構えのアプローチを考案した。ステップ1において,消散系の蓄積関数をシステムのリアプノフ関数候補とし,仮想入力が拘束条件を満たす条件下でリアプノフ関数候補の微分を最小化するように仮想入力を決定した。系の消散性質のもとで、システムのクラスによっては、(1)大域的な漸近安定性、あるいは(2)有限時間整定性が保証される。さらに、ステップ2のBackstepping設計によって、全系を大域に漸近安定化する制御入力が求まった。提案された制御則はパラメータ変動に対してロバストなものである。旋回クレーンと車両に適用してシミュレーションした結果,きわめて優れた成果が得られた。 本研究の成果は,実用上クレーンシステムの大幅な効率向上と自動車などの操縦自動化に大きく寄与するものである。また、理論上においては、本研究の思想はいままでの非ホロノミック制御研究になかった、斬新なものであり、アプローチとしてもきわめて簡潔なものである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Z.Liu and S.Ouchi: "Nonlinear control approach to linear systems with constant input norm constraint-Application to rotational crane systems "Proceedings of CCC'2000. 440-444 (2000)
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[Publications] K.Z.Liu and S.Ouchi: "Global asymptotic control approach for a class of nonholonomic systems-Application to rotational crane"計測自動制御学会第23回DSTシンポジウム. 135-138 (2000)
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[Publications] K.Z.Liu and A.Kumasaka: "Steering control of vehicles by discontinuous control approach"計測自動制御学会第23回DSTシンポジウム. 139-144 (2000)
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[Publications] 劉康志,大内茂人: "旋回クレーンの大域的漸近安定制御法の提案"第43回自動制御連合講演会. 47-48 (2000)
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[Publications] 劉康志: "線形ロバスト制御"コロナ社(出版予定). 230 (2001)