2001 Fiscal Year Annual Research Report
サーモグラフィによる構造物表層部欠陥の定量的非破壊評価システム
Project/Area Number |
12750420
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鎌田 敏郎 岐阜大学, 工学部, 助教授 (10224651)
|
Keywords | 非破壊検査 / コンクリート構造物 / 欠陥評価 / サーモグラフィ / 表面温度分布 / 空隙 / 鋼板巻き立て補強 / 液体窒素冷却 |
Research Abstract |
サーモグラフィ法は、コンクリート構造物表層部分の欠陥(空隙)を検出するための非破壊試験法として、特に近年注目されている。この方法は、非接触計測のため検査効率が高く、熱画像から空隙の状態が直接視覚的に把握できるなどの利点を有している。しかしながら、従来の研究は、空隙の有無の判別にとどまっているものが殆どであり、構造物表面の局所的な温度変化に基づいて欠陥の定量的情報(空隙の大きさや厚さなど)を得るための検討が不足していた。 本研究では、こうした課題を解決するため、鋼板で覆われたコンクリート部材において、鋼とコンクリートとの間に存在する空隙の検出に関する研究を行い、次のような成果を得ている。 (1)液体窒素を冷却材として用いて熱負荷を与えるアクティブ法により、欠陥部分において安定的に温度差を生じさせることに成功している。 (2)断熱温度場法の考え方に基づき、実験と解析の両面からのアプローチにより、2次元サーモグラフィ上の局所的温度変化領域での温度分布曲線の変曲点を空隙の端部とみなすことによって、空隙の直径を推定する手法を見出している。 (3)3次元サーモグラフィにおける温度分布局面から算出した体積と空隙の実体積との相関関係を利用して空隙体積の推定を行った上で、あらかじめ推定した空隙面積でこの推定空隙体積を除することによって、空隙の平均厚さを推定するプロセスを提案している。 本研究では、これらの結果をもとに、サーモグラフィによる構造物表層部欠陥の定量的非破壊評価システムを提案している。これによってサーモグラフィ法の実用性が高められるとともに、欠陥の情報がより定量的なものとして得られるようになり、今後、補修や補強などの設計・施工において有用性が大きいと考えられる。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Toshiro Kamada, Takayuki Kawase, Minoru Kunieda, Keitetsu Rokugo: "Thermographic NDT to Estimate Interfacial Flaw Sizes Between Steel Plates and Concrete Members"Proceedings of Structural Faults and Repair 2001(July,2001 London). (CD-ROM). 1-13 (2001)
-
[Publications] 鎌田 敏郎: "最新の非破壊検査技術"日本材料学会講習会テキスト「コンクリート構造物の診断技術」. 16-25 (2001)