2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750443
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小山 茂 信州大学, 工学部, 助手 (30271886)
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Keywords | 断層 / 変形の局所化 / 特異摂動展開 / 平均弾性 / 非局所型構成則 |
Research Abstract |
今年度は,断層の発生と進展の数値シミュレーション手法開発の準備期間と位置付けて,計算機メモリ使用の効率化と断層のモデル化の二点に着目した研究を行った.断層を変形の局所化領域とみなし,巨視的挙動と微視的挙動を連成させる特異摂動展開法に基づくマルチスケール解析により定式化を行い,巨視的な応力がひずみ勾配にも依存するという非局所型の構成則を誘導した.不均一な棒の引張り問題に対して,本定式化に基づく有限要素法を適用して数値解析を行った結果,通常の有限要素による変形の局所化解析では問題となっている,解のメッシュ依存性の問題を改善することができた.すなわち,本解析によって得られる荷重変位曲線は,要素数の如何によらずほぼ一定となることを示した.一方,計算機メモリ使用の効率化に関しては,通常の有限要素解析と比較して改善が見られたものの,問題の性質上,必要となる要素数はそれほど膨大とはならなかったため,今後の二次元,三次元解析において同様の効果が得られるかどうかについては今後の課題であると考えている.また,巨視的解析において必要となる平均弾性の評価に関して,現在最良の上下界を与えることで知られる,HashinとShtrikmanが示した結果を更に改善することができた.以上が今年度の実績である.来年度は,二次元,三次元問題へと本手法を拡張し,実際の地殻活動の数値シミュレーションへの適用の具体的な検討を行う予定である.また特異摂動展開に関して,two-scale収束論に基づく定式化が提案されており,離散化に伴う数値誤差が改善されると報告されているため,この点についても検討を行う予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小山茂: "特異摂動展開による非局所型構成則の誘導について"土木学会応用力学論文集. Vol.3. 667-671 (2000)
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[Publications] 小山茂,岩熊哲夫 他: "複合材料と多結晶体の平均的性質"土木学会論文集. No.661 I-53. 265-272 (2000)