2001 Fiscal Year Annual Research Report
東海環状自動車道を事例とする、地域均衡発展のためのネットワーク整備に関する研究
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12750478
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森杉 雅史 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (00314039)
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Keywords | 都市の長期的発展 / 東海環状道路の整備効果 / 少子高齢化社会 / 均衡の安定性 / 内生的成長理論 |
Research Abstract |
前年度にて構築したデータベースを用い、また統計処理を施した各種パラメータを元に、Fortran言語にて動的一般均衡都市システムモデルを作成した。対象は現状から30年後先までの、東海環状道路周辺の主要都市、幹線道路、鉄道ネットワークである。モデルは人口移動、都市内住宅・商業立地、交通、人的資本成長の4つのサブモデルで構成され、それぞれにおいてパラメータはSPSSを用いた時系列分析によって推定値を得ている。人口の将来予測については国立人口問題研究所による中位推計を用いて、各年における対象エリアの各世代層毎総人口を概算する。問題意識の視点はこの中部エリアにおいて各都市の居住人口がどのように推移するか(発散型か安定型か)、また少子高齢化の過程はその人口の長期的な推移においてどのように影響を与えるか、この時ある地域に持続的に集中・過疎現象が起きうるとすれば、交通ネットワーク整備の規模や方向性によって未然に防げる効果を持ち得るかどうか、等である。筆者は既往研究にて論理的には、人口移動の方向性の視点から代替的関係にある都市間ネットワークをより強化する、あるいは競争性を促すならば、各都市に働く集積・規模の経済性がもう片方の都市に流出することにより、この現象を緩和し、居住人口の変動をより小さくすることができることを明らかにしている。これは内生的成長理論と呼ばれる、人的資源の集中効果を人的資本成長モデルに組み込む構造から由来している。ちなみに、人的資本成長モデルの統計的な検証はかなりの感度を挙げることができ、その意味で内生的成長理論の実数値検証は成果が挙げられた。しかし一方で、交通整備の効果は当初推計した一般化費用の低下をもたらし、モデルの構造を通して、人的資本成長率(賃金率で指標化)には極微々たる影響しか与えない。よって、東海環状自動車道のみならず、第2東名や伊勢湾横断道路、北陸自動車道整備のいずれのパターンも長期人口移動の趨勢を変化させるには至らなかった。一方で少子高齢化の影響は、例えばKuznetsによる仮説の類推的引用をするとこの結論はむしろ逆ととれるが、本モデル推計では地域格差を増長させる方向に働くと結論づけられた。何故ならば人口が全体で希薄化することは各都市の経済成長率自体は下げるが、都市空間の使用面積比率の減退を促し、より規模の経済性が働く状況(追加流入人口に対し生産力が向上する)になりうることによる。これらの主要な結論は各雑誌論文への投稿と共に、筆者の博士(工学)学位論文の終章にてとりまとめられている。交通社会資本整備の経済成長率との因果関係については、補助金受領期間において十分な時系列交通量データの獲得が困難だったため、今後の主要な検証課題と一つとなっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y. Hayashi, M. Morisugi: "Long-run effects of depopulation and road improvement on multi-regional economy"Conference Proceedings in Urban Transport. (2002)
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[Publications] 森杉雅史: "内生的成長論に基づく都市システムの定常成長均衡解における安定性分析"応用地域学研究. 第5号. 77-90 (2000)
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[Publications] 森杉雅史, 奥田隆明, 林良嗣: "交通社会資本整備による地域間均衡成長への影響分析"土木計画学研究・講演集. 22. 111-114 (1999)