2000 Fiscal Year Annual Research Report
循環型社会実現のための含水率の高い有機性固形廃棄物の可溶化処理システムの開発
Project/Area Number |
12750498
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
今井 剛 山口大学, 工学部, 助教授 (20263791)
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Keywords | 有機性固形廃棄物 / 高含水率 / 余剰汚泥 / 高速回転ディスク / 剪断破砕 / 可溶化 / 資源回収 / 循環型社会 |
Research Abstract |
本研究では、シンプルであるがゆえに維持管理が容易で、処理コストも比較的安価な物理的分解法の1つである高速回転ディスクによる有機性固形廃棄物の可溶化について検討する。本法は、高速で回転するディスクの間隙に余剰汚泥等の含水率の高い有機性固形廃棄物を通過させ、その時に生じる(1)剪断力による破砕(剪断破砕)、(2)すり潰しによる破砕(磨砕)、及びそれにともなって生じる(3)微生物細胞内から溶出した加水分解酵素による低分子化の促進、を組み合わせて汚泥を高効率に可溶化させる可能性について実験的に検討した。また、ディスク処理の前処理あるいは後処理として加温による可溶化促進についても検討した。 以下に本研究によって得られた結果をまとめる。 (1)本高速回転ディスク装置で余剰汚泥の可溶化が可能であることが明らかとなった。 (2)初期のディスクパスによって破砕されるのは主に原生動物であると考えられる。 (3)ディスク材質について、セラミック、ステンレス、ジルコニアの3種について検討したが、材質はセラミックで(あるいはある程度の粗度を有して)、汚泥のMLSS濃度が高い場合に可溶化がより促進されることが実験的に示された。 (4)前加温と後加温では明らかに前加温の方が汚泥の可溶化について有効であった。 (5)約60℃で加温処理した場合にMLSS込みのBODを適正に測定できることが示された。また、この結果から最低60℃で30分の加温処理を行うことで生菌を死滅させることができ、さらなる可溶化が達成できる可能性が示された。 今後はさらに高速回転域における可溶化、あるいはディスク間隔を変化させた場合の可溶化について検討を進め、最適な運転条件を推定する必要がある。加えて、実用化に当たってはコストと可溶化率を考慮した"最適"設計を行う必要があり、そのための消費電力の測定も行う予定である。
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