2000 Fiscal Year Annual Research Report
遮光布によるアトリウム空間の温熱環境調整計画に関する研究
Project/Area Number |
12750524
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 太郎 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70312387)
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Keywords | アトリウム / 遮光布 / 実測調査 / シミュレーション |
Research Abstract |
1.実験による遮光布の効果の把握 札幌市立高等専門学校の同規模,同形状の二棟(A棟,B棟)のアトリウムを用いて,片方のアトリウムに遮光布を設置した状態で二棟の環境測定を行った.4種(布種類)×2形状(遮光方法)=8ケースの実験を行い,アンケート(意匠面への影響),上下温度分布の測定,照度分布の測定等を実施し,相互のアトリウムに生じた同時刻データの差から遮光布の光・温熱環境への効果を把握した.その結果,アトリウムの光・熱環境調整手法として遮光布を使用する場合,遮光方法や布の色によって効果が変わってくることが分かった. 1)白の垂直遮光:白色の布は日射吸収率が低いため,日射が当たっても布温度が上昇しない.そのため遮光効果によって居住域温度を下げることはできたが,頂部の温度は変化しない. 2)青の垂直遮光:白色の垂直遮光と同様に,居住域の温度を下げることができた.しかし頂部では,布が日射を吸収したため,布温度が上昇し,遮光したB棟の温度の方が上がってしまった. 3)白の水平遮光:遮光したB棟において,居住域の温度を下げることができたが,頂部の温度は上がってしまった.この原因は水平に設置された白い布が反射板となり,日射が反射され,周辺の温度を上昇させたためと考えられる. 4)青の水平遮光:居住域,頂部とも遮光したB棟の温度の方が上昇してしまった. 2.数値解析手法の検討 入射日射量の分布計算と,その分布を元に温度・空気移動量を計算する数値解析手法の開発を行った.日射受熱量の分布が生じやすい,アトリウム内の日射受熱量計算に関して,汎用性の高いオブジェクト指向言語を用いてコードの開発を行った.今後は自然換気と遮光の関係を計算によって明らかにしていく. 3遮光布の短波長に対する性状把握実験 入射日射量の分布計算へのデータ入力を前提に,数種類の布の光学的な性状を把握するための実験を行った.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森太郎: "アトリウム空間の日射受熱量計算手法の開発 オブジェクト指向言語を用いた日射受熱量分布解析コードの開発と適用"日本建築学会北海道支部研究報告集. 73. 167-170 (2000)
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[Publications] 酒井義幸: "遮光布によるアトリウム空間の光・熱環境調整 遮光布の透過・反射性状把握と遮光効果の実測"日本建築学会北海道支部研究報告集. 73. 171-174 (2000)
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[Publications] 佐々木大徳: "遮光布を設置したアトリウム空間の温熱環境シミュレーション"日本建築学会北海道支部研究報告集. 73. 175-178 (2000)
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[Publications] 酒井義幸: "遮光布によるアトリウム空間の光・熱環境調整 設置方法と布の色がアトリウムの光・温熱環境に与える影響"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-I. 1009-1010 (2000)
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[Publications] 森太郎: "アトリウム空間の日射受熱量計算手法の開発 オブジェクト指向言語を用いた日射受熱量分布解析コードの開発"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-II. 23-24 (2000)
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[Publications] Taro Mori: "Improvement to the thermal environment in a glass-covered space by using shield cloths"Cold Climate HVAC 2000 The 3rd International Conference. 105-110 (2000)