2000 Fiscal Year Annual Research Report
着衣における水分蓄積が人体の非定常温熱生理に及ぼす影響
Project/Area Number |
12750528
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 暁 京都大学, 工学研究科, 助手 (20301244)
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Keywords | 非定常状態 / 被験者実験 / 発汗 / 熱水分同時移動 / 人体熱モデル / 血流 / 深部温 / 着衣 |
Research Abstract |
適切な非定常空調制御法の提案を目的として、非定常状態の人体の温熱生理反応について検討を行った。発汗とその蒸発過程を想定した被験者実験、および実験データの数値解析を行った。得られた結果は以下の通りである。 1.深部温測定方法について 人体の体温調節の入力信号となる深部温に対応すると考えられるものとして、腋下温、鼓膜温、直腸温を非定常状態について測定した。複数の被験者について実験を行い、それぞれの特徴を把握した。その結果、どの部位で測定しても、環境温度の変化に対し深部温が遅れて応答している例が大半を占めることが明らかとなった。また、腋下温、鼓膜温、直腸温には差が見られたが、各実験ごとにそれらの温度を高い順に並べたとき、被験者によって順位が異なった。 2.血流量調節のモデルについて レーザードップラー方式の血流計で大腿部の皮膚血流量を非定常状態について測定した。人体熱モデル(Two node model)で求まる全身の血流量と皮膚血流量の変化の特徴を比較した。周辺気温の急上昇に対する血流量の応答について数値計算によりその傾向を一部再現することができた。その一方、周辺気温の急低下に際しての応答については、解析値の応答が実験値より遅い。その原因についてはまだ明らかになっていない。 3.衣服を身につけた被験者についての実験 汗をかいた直後に冷房された環境へと移動するという想定で、実験室実験を行った。一連の過程での皮膚温、深部温、発汗量、血流量、着衣温、着衣の含有水分量の時間的変動を計測した。また赤外線カメラにより着衣・皮膚表面温度分布を測定した。一方、Two node modelと熱水分同時移動モデルを合わせた解析モデルにより、人体-着衣系の熱・水分移動解析を行った。その結果、汗の蒸発過程においては、皮膚から着衣への水分吸着による熱発生が、蒸発初期において、着衣の温度変化に大きく影響することが明らかとなった。
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[Publications] T.Umeno: "Prediction of Skin and Clothing Temperatures under Thermal Transient Considering Moisture Accumulation in Clothing"ASHRAE Transactions. 107(未定). (2001)
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[Publications] 高田暁: "人体-着衣系における非定常熱水分移動解析"第24回人間-生活環境系シンポジウム報告集. 85-88 (2000)
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[Publications] 川上直紀: "汗の蒸発過程における皮膚温・着衣温の非定常性状"第24回人間-生活環境系シンポジウム報告集. 69-72 (2000)
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[Publications] 高田暁: "着衣の平衡含水率測定と湿気伝導率測定"第21回日本熱物性シンポジウム講演論文集. 262-264 (2000)
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[Publications] 高田暁: "被験者実験による発汗調節モデルの検討"第16回睡眠環境シンポジウム. 78-85 (2000)