2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750576
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
森山 惠香 有明工業高等専門学校, 建築学科, 助手 (40290829)
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Keywords | 炭鉱主住宅 / 麻生本家 / 大浦麻生家 / 廣畑麻生家 / 旧蔵内次郎作・保房邸 / 旧高取伊好邸 / 旧中島徳松飯塚別邸 |
Research Abstract |
北部九州における炭鉱主住宅に関する建築史的研究として、廣畑麻生家(福岡県飯塚市)の調査を新規に行い、旧蔵内次郎作・保房邸(福岡県築上郡築城町)、旧中島徳松飯塚別邸(福岡県嘉穂郡穂波町)、旧高取伊好邸(佐賀県唐津市)の3棟について補足調査を行った。 「筑豊御三家」の一つである麻生本家に関する研究の一環として、本年度は廣畑麻生家の実測調査を行い、現状の平面図・展開図を作成した。調査の結果、当住宅の鬼瓦に大正8年の箆書銘があったが、建築年代については判然としない。麻生太吉の弟、八郎の住宅であった廣畑分家は、本家や第一分家と称された大浦麻生家とは全体的な平面構成がかなり異なる。当住宅に対する本家の優位は確認できるが、分家間の家格の上下関係に伴う建築的相違の有無については、今後の課題としたい。 尚、九州大学石炭研究資料センター所蔵の工事日誌の記述から、本家は大正9〜13年に改造が行われ、大浦麻生家は大正12年8月の上棟であることが解る。両者の工事時期はほぼ重なり、大浦麻生家は本家と諸部屋の配置が基本的に類似し、分家相当の規模に縮小した平面となっている。 また、補足調査の結果、旧蔵内邸は住宅全体の配置から、建設時期を含め、各棟の相対的な関連性を把握できた。旧中島別邸では小屋組の実測調査を行い、その材料及び工法から、各棟の建設時期が推察される。そして、旧高取邸では北棟の書斎小屋裏の棟札(明治37年6月27日)や東棟の能舞台の新聞記事(明治38年8月26日〜28日の新築祝い)等が従来の研究により指摘されているが、今回は西棟部分の実測調査を行い、仏間や居室等、日常の居住空間の状況を把握することが出来た。
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