2000 Fiscal Year Annual Research Report
黒鉛をホストとする貴金属ナノ微粒子による新機能発現
Project/Area Number |
12750585
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
WALTER Jurgen 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70314375)
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Keywords | ナノ微粒子 / 黒鉛層間化合物 / パラジウム / 構造解析 / 磁気特性 / 黒鉛 / 透過型電子顕微鏡 / 白金 |
Research Abstract |
本研究の目的は黒鉛をホストとして,様々なサイズの貴金属(=パラジウム,白金,ルテニウム,ロジウム等)ナノ微粒子を作製し,透過型電子顕微鏡観察及び制限視野電子線回折、X線回折、X線光電子分光法などによる構造評価や磁気特性、触媒特性、水素吸蔵特性の評価である。今年度は主にパラジウムについて研究を行なった。まず、前駆体である塩化パラジウム黒鉛層間化合物を作製し、その後、この前駆体の還元により、黒鉛をホストとするパラジウムナノ微粒子の作製に成功した。その還元方法により異なるタイプのナノ微粒子が作製された。THF溶液リチウムイオンによる還元の場合、パラジウム微粒子は黒鉛との間にわずかに電荷移動が残しており、平均結晶粒径が約7nmという比較的小さい微粒子が得られた(タイプI)。一方、水素雰囲気中高温での還元においては、パラジウム微粒子は黒鉛との間には電荷移動が無く、また平均結晶粒径が約75nmというタイプIの10倍ほどの比較的大きな微粒子が得られた(タイプII)。どちらのタイプも厚みは数原子程度と非常に薄く、また結晶構造のバルクと同じFCC構造以外にも、特殊な構造(HCP構造)を有する微粒子が得られていることがわかった。また、タイプIIについて磁気特性を測定したところ、極めて大きいヒステリシスが得られるという極めて興味深い結果が得られた。通常のパラジウム(FCC構造)は常磁性であるため、このヒステリシスは、上述した特殊な構造(HCP構造)をしたパラジウムに起因していると考えられ、今後その発生メカニズムを理論サイドからも明らかにしていく予定である。また、ヘック反応に関する触媒特性評価も行い、興味深い結果を得た。更に、白金等についてもナノ微粒子作製に成功し、現在物性評価を進めている最中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Walter,J.Heiermann,G.Dyker,S.Hara,H.Shioyama: "Hexagonal or Quasi Two-dimensional Palladium Nanoparticles-Tested at the Heck Reaction"Journal of Catalysis. 189. 449-455 (2000)
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[Publications] J.Walter: "Template-assisted Growth of Hexagonal Poly-or Single-crystalline Quasi Two-dimensional Palladium Nanoparticles"Advanced Materials. 12. 31-33 (2000)
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[Publications] J.Walter: "Quasi two-dimensional or hcp palladium nanoparticles with host-guest interaction prepared at room temperature"Philosophical Magazine Letters. 80. 257-262 (2000)
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[Publications] M.Suzuki,I.S.Suzuki,J.Walter: "Magnetic properties of palladium-graphite multilayers"Physical Review B. 62. 14171-14180 (2000)