2000 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化転位構造の転位動力学シミュレーションおよび実験的研究
Project/Area Number |
12750587
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
兼子 佳久 大阪市立大学, 工学部, 助手 (40283098)
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Keywords | シミュレーション / 転位 / フランクーリード機構 / オロワン機構 |
Research Abstract |
すべり面内を移動する転位の運動をシミュレートするためのプログラムをFortran90を用いて作成した. 転位線は刃状転位とらせん転位微小セグメントで近似した.De Witの式に基づいて転位が周囲に発生させる応力場を計算し,次にPeach-Koehlerの式に基づいて転位に作用する内部応力を計算した.さらに線張力と外部応力を考慮し,転位速度を計算した.このような計算過程を繰り返すことによって,転位線の運動および安定構造を調査した. (1)Frank-Read機構の再現 両端を固定した転位線に定荷重速度の外部せん断応力を負荷することによりFrank-Read機構を再現した.従来透過型電子顕微鏡で観察されているFrank-Read機構により増殖した転位の様子と比較して,この結果はFrank-Read機構をよく再現していた. (2)定せん断応力を負荷した場合の安定構造 両端が固定されたの転位線にせん断応力を負荷することによって,その転位増殖の臨界応力をシミュレートした.転位の増殖が発生する臨界応力はノード間距離が大きくなると臨界応力は小さくなり,転位線張力にもとずく理論解と定性的に一致した.しかしながら,理論値とシミュレーション値との間に差も見られた.荷重速度の異なるシミュレーションを行った結果,荷重速度の減少にともない臨界応力が減少したので,十分低い荷重速度ではシミュレーション結果は理論値に近づくと考えられる. (3)オロワン機構の再現 すべり面上に分散粒子を配置し転位線に一定荷重速度のせん断応力を加えた結果,分散粒子の周囲にオロワンループの形成が見られた.分散粒子間隔が小さいほどよく応力-ひずみ線図は加工硬化しており分散強化機構を再現できた.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Kaneko,A.Vinogradov,K.Kitagawa,S.Hashimoto: "Cyclic Stress-Strain Response of Pb-Sn and Zn-Al Eutectic Alloys fine-grained by Equal-Channel Angular Pressing."Investigation and Applications of Severe Plastic Deformation. Noto Series80巻,3号. 289-296 (2000)