2001 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ化学蒸着法による新規フッ化物ガラス薄膜の合成と光導波路材料への展開
Project/Area Number |
12750602
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小路谷 将範 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (20304123)
|
Keywords | プラズマ化学蒸着 / 薄膜 / フッ化物ガラス / アモルファス / 有機金属錯体 / 平面型光導波路 / アルミニウム / ガリウム |
Research Abstract |
プラズマ化学蒸着法(以下CVDと記す)によるAlF_3系およびGaF_3系ガラス薄膜の合成および合成薄膜の評価を行った. 1.薄膜合成 原料試薬にはAl(pd)_3,Ga(pd)_3および修飾成分であるBa源としてBa(hfa)_2(tg)を用いた.同試薬をCVD装置内気化室において140 160℃にて加熱気化させ,Arガスをキャリアとして,圧力1.33x10^<-1>Pa以下に制御された反応室内に導入した.フッ素源にはNF_3を用い,磁束密度0.0875T,マイクロ波周波数2.45GHz,出力10Wの条件下プラズマ化した.同プラズマと気化錯体との気相反応物をホタル石基板に蒸着した. 薄膜X線回折により,基板温度200 400℃の条件下においてAlF_3単成分のアモルファス薄膜が得られること,基板温度200 300℃においてGaF_3単成分アモルファス薄膜が得られることを確認した.ここに,単成分フッ化物アモルファスは,通常の融液急冷法では合成し得ない物質(BaF_2を除く)である.また,二成分系では,組成60AlF_3・40BaF_2よりもAlF_3比の高い組成においてアモルファス薄膜が得られること,組成25GaF_3・75BaF_2までBaF_2比の大きなアモルファス薄膜が得られることを確認し,CVD法では通常の融液急冷法で合成し得るアモルファス(ガラス)化組成範囲よりも広い範囲に渡ってアモルファス薄膜を合成し得ることが分かった. ATR法によるFT-IR測定から,有機残留物等の不純物を含まない薄膜は,300℃以上の基板温度保持によって得られることが分かった.GaF_3薄膜では,基板温度200℃の条件下合成された薄膜においても有機不純物等による赤外域の吸収ピークは観測されなかった. しかしながら,同薄膜の波長632.8nmにおける屈折率は,ホタル石基板のそれ(約1.43)以下と考えられ,光導波路への利用にはLiF等のより屈折率の低い基板が必要である. 2.薄膜の光学的特性 AlF_3単成分アモルファス薄膜の波長632.8nmにおける屈折率は,本研究で用いたホタル石基板のそれ(約1.43)以下と考えられ,導波路への利用には,LiF等より屈折率の低い基板が必須と言える.このことは,GaF_3単成分系においても同様であった.本研究では,GAF_3-BaF_2二成分系において,ホタル石基板よりも屈折率の高い屈折率1.46 1.47が得られた. 本研究で合成したアモルファス薄膜の屈折率が低いことを考慮すると,屈折率の最も低いAlF_3単成分アモルファス薄膜をホタル石基板に下地として蒸着し,その上により屈折率の高いGaF_3単成分薄膜,あるいは二成分系薄膜を蒸着し,導波路を二層構造にすることが望ましいと考える.
|