2001 Fiscal Year Annual Research Report
カルボン酸塩テンプレートを用いた酸化物チューブの合成
Project/Area Number |
12750603
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮路 史明 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (80219782)
|
Keywords | チューブ / テンプレート / 有機結晶 / カルボン酸 / アンモニウム / 遷移金属酸化物 / ゾルーゲル法 / アルコキシド |
Research Abstract |
本年度は,前年度の研究によりシリカチユーブのテンプレートとして有効であることが分かったカルボン酸アンモニウム結晶のうち,dl-酒石酸アンモニウムの針状結晶をテンプレートとして選び,アルコキシドのゾルーゲル反応を用いて,種々の遷移金属酸化物(TiO_2,ZrO_2,Nb_2O_5,Ta_2O_5)チューブの合成を試みた。まず,dl-酒石酸を含むエタノール溶液に濃アンモニア水を加えると,dl-酒石酸アンモニウムテンプレート結晶が析出し,針状(α軸方向)に急速に成長した。次に,結晶テンプレートを含むエタノール溶液に金属アルコキシドを加えて撹絆すると,上記の遷移金属酸化物がテンプレート結晶の側面上のみに析出した。シリカの場合と同様にテンプレート結晶の端面に酸化物は析出しなかった。酸化物層が結晶の側面上に析出した後,内部のテンプレートを水洗して除去することにより,四角形の外形と孔を持つ中空のチューブが生成した。生成したチューブのサイズは,長さ40-200μm,幅1.3-5.9μm,孔径1.0-4.9μm,壁の厚さ0.2-0.7μmであった。FT-IR及び粉末X線回折より,いずれのチューブも非晶質のゲルであることが分かった。生成したチューブの比表面積と細孔径分布はアルコキシドの種類により大きく変化した。アルコキシドの加水分解性重縮合の均一性及びゲル中の水和水の量がチューブのミクロポーラス構造に影響を与えたと考えられる。水溶性のdl-酒石酸アンモニウム結晶を用いた本テンプレート法は,単純なプロセスによりミクロン〜サブミクロンのサイズの遷移金属酸化物チューブを合成するのに有用であることが明らかとなった。
|
Research Products
(1 results)