2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロトン供与性非水系電解質を用いたBi系高温超伝導体の電気化学的改質
Project/Area Number |
12750605
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松田 元秀 岡山大学, 環境理工学部, 助教授 (80222305)
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Keywords | 超伝導体 / 電気化学的処理効果 / プロトン挿入 / 超伝導転移温度 |
Research Abstract |
高温超伝導体の超伝導転移温度(Tc)はキャリア濃度に強く依存し、高いTcを得るにはキャリア濃度の最適化が必要不可欠である。80K級の高温超伝導体として知られるBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>(Bi-2212)は通常の方法で作製すると、キャリア濃度が過剰となり、そのTcは約75K程度に留まる。そのため、キャリア濃度を最適化させるための還元処理が必要となる。Bi-2212の還元はこれまでに窒素雰囲気でのアニール処理や元素置換による陽イオン原子価制御によって行われてきたが、制御性の点で今だ検討課題を残している。最近、幾つかの研究グループは、電気化学的手法が以前の処理法に比べ制御性に勝ることを踏まえ、さらにBi-2212が層状構造を有することに着眼し、Bi-2212内へのLi_+イオンの電気化学的挿入を検討し、Bi-2212の還元に成功している。これらの研究に対して本研究では、Bi-2212へのプロトンの挿入を目的とし、安息香酸含有アセトン溶液を電解質としたBi-2212の電気化学的還元を試み、その処理効果を検討した。その結果、次の知見を得た。 (1):安息香酸含有アセトン電解質中でBi-2212を電気化学的に処理することによって、Tcを76Kから90K付近まで上昇させることに成功した。 (2):電気化学的処理前後の試料をXRDによって検討したところ、生成相に変化は見られず、Tcの上昇がBi-2212相によるものであることが明らかになった。 (3):高い電圧を印加することによって、より短時間の処理でTcを90K付近まで上昇させることができることがわかった。
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Research Products
(1 results)