2001 Fiscal Year Annual Research Report
規則化メソ孔を有する結晶性チタン酸バリウム自立膜の液相界面合成
Project/Area Number |
12750607
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
下岡 弘和 九州工業大学, 工学部・物質工学科, 助手 (50253555)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / チタン酸バリウム / 自立膜 / 気-液界面 / 周期的メソ孔 / 室温合成 / ナノ構造 / 高濃度前駆体溶液 |
Research Abstract |
本研究は,代表的な強誘電体材料であるBaTiO_3のナノスケールにおける新しい組織・形態制御技術の開拓を目指したものである.本研究では,ゾル-ゲル法を基本とし,気-液界面の2次元面内で前駆体分子(BaイオンとTi(OR)_x(OH)_y(OTi)_z(x+y+z=6)からなるクラスター)を自己組織化させて様々な鋳型分子が展開した界面上で自立膜を成長させる独自のアプローチによりナノ構造BaTiO_3自立膜の合成を試みたものである.研究期間内に得られた成果は次の通りである. 1.界面上への展開溶液として用いたBa, Tiアルコキシド溶液中の前駆体分子構造を明らかにした^<3)>.溶液内では,メタノールおよび2-メトキシェタノール混合溶媒と配位子交換反応,キレート形成反応により,Ba/Ti=1で分子内にTiO_6八面体構造を有するヘテロニ金属アルコキシドBa(OMe)_4(0Et)(OEeOMe)が生成することを明らかにした.また,高濃度の溶液とすることでイオン解離を極めて抑制することができ,化学量論比組成のBaTiO_3ゲル膜の生成に有効であることがわかった.さらに,前駆体分子構造の特徴から,加水分解反応と重縮合反応によってBaTiO_3結晶を生成しやすい理由について考察した. 2.緻密なナノ構造BaTiO_3自立膜作製では,ゲル膜中に存在するメソ孔を粒成長を伴わずに消去することが問題である.1で述べた高濃度前駆体溶液から得られたBaTiO_3モノリシックゲルでは,問題となるメソ孔が焼成過程において粗大化せず,結果として透光性を示すBaTiO_3セラミックスが得られることが明らかとなった.
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[Publications] H.Shimooka: "Preparation of Translucent Barium Titanate Ceramics from Sol-Gel Derived Transparent Monolithic Gels"Journal of Materials Chemistry. 10・7. 1511-1512 (2000)
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[Publications] H.Shimooka: "Synthesis of Free-standing Crystalline Barium Titanate Films at Vapor/Liquid or Liquid/Liquid Interface"Journal of Sol-Gel Science and Technology. 19. 749-752 (2000)
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[Publications] 下岡弘和: "メタノール/2-メトキシェタノール混合溶媒を用いて合成した高濃度Ba, Tiアルコキシド溶液中におけるヘテロニ金属アルコキシドの構造"日本セラミックス協会学術論文誌. 109・1. 60-65 (2001)