2000 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルゲル法による3元系抗菌材料の作製と表面キャラクタリゼーション
Project/Area Number |
12750617
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小坂 知己 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (80282789)
|
Keywords | 抗菌 / ゾルゲル / 活性酸素 |
Research Abstract |
三元系金属酸化物の抗菌性とそのメカニズムを解明するため、銅/チタニア、マグネシア/チタニア、銅-マグネシア/チタニアの3種類の試料をゾルゲル法により調製し実験を試みた。試料は大気中873Kで3時間焼成した粉末試料の他、ガラス基板上にディップコーティングで作製した薄膜試料も実験に供した。試料の抗菌特性は、フィルム密着法を利用して、24時間培養後の生菌数をガラス基板のみの場合と比較することで評価した。また、活性酸素種ラジカルの測定には、DMPOスピントラッピング法を利用した。銅-マグネシア/チタニア、銅/チタニアでは有効な抗菌性が認められ、それぞれ15分後、45分後で生菌数がゼロとなった。一方、チタニアのみ、マグネシア/チタニアでは、大腸菌液に1時間接触をしても生菌数に著しい変化は検出されなかった。スピントラッピング法によると、試料表面で生成する活性酸素種ラジカルは、主にOHラジカルであり生成量が銅-マグネシア/チタニアで最も多く、抗菌性が現れなかったチタニア、マグネシア/チタニアではゼロであることから、抗菌特性のメカニズムとしてOHラジカルの生成が支持された。Mg K-edge XANES測定の結果、マグネシア/チタニアの2元系試料では焼成でチタン酸マグネシウムの複合酸化物が生成し、マグネシウム周りの環境構造が変化していることが判った。また、銅-マグネシア/チタニアではマグネシウム周りの環境構造は変化せず、6配位のマグネシアとして表面に存在することが明らかとなった。溶出実験の結果、マグネシア/チタニアの場合に比べ、構造変化が起こらない銅-マグネシア/チタニアではマグネシウムがイオンとして多く溶出することが明らかとなった。従って、銅-マグネシア/チタニアでは、活性酸素種ラジカルの生成に加え、マグネシウムイオンによる溶出も抗菌性に寄与していると考えられる。
|