2001 Fiscal Year Annual Research Report
ゾルゲル法による3元系抗菌材料の作製と表面キャラクタリゼーション
Project/Area Number |
12750617
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小坂 知己 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (80282789)
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Keywords | 抗菌 / ゾンゲル法 / 活性酸素 |
Research Abstract |
昨年度の研究から、銅-マグネシア/チタニア3元系金属酸化物の特徴的な表面構造が抗菌特性に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。更に、光照射下での活性酸素種ラジカルの生成が条件によっては銅/チタニアよりも活性化することが判った。そこで本年度は、三元系試料について坦持順序を変化させて表面構造の制御を試みた。実験に供した試料は、銅、マグネシウムの両イオンを溶液中でチタニアに共坦持したCu-Mg/TiO_2(C-M/T)、先に銅イオンを坦持した銅/チタニアをマグネシウムイオンの溶解した溶液中で坦持したMg/Cu/TiO_2(MC/T)、MC/Tと逆の順序で坦持したCu/Mg/TiO_2(CM/T)の3種類である。XANES測定によると、何れの試料においても700℃以上の焼成で複合酸化物であるチタン酸マグネシウムが検出されたが、CM/Tでは他の2つの試料に比べ、複合酸化物の割合が小さかった。この原因は、ESR測定の結果も考慮すると複合酸化物の生成を抑制する銅の分散性や深さ方向の分布が試料によって異なり、CM/Tでは銅がマグネシア/チタニア界面に濃縮して偏析しているのに対し、C-M/TとMC/Tでは最表面に露出した銅の割合が大きく、複合酸化物の生成が容易であったためと推測される。また、大腸菌に対する抗菌性は、銅が最表面に露出したC-M/T、MC/TがCM/Tに比べ強い傾向となった。一方、活性酸素種ラジカルの生成量と銅イオンの溶出量には相関性があり、C-M/T、CM/T、MC/Tの順で多くなることが判った。この結果は、本研究で検出された活性酸素種ラジカルや金属イオンが、大腸菌を死滅させる直接の原因ではないことを示している。従って、抗菌メカニズムの解明には、試料表面における銅の環境構造や、それに起因する電子の易動度など詳細な実験データが必要と考えられ、これは今後の課題である。
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