2000 Fiscal Year Annual Research Report
電子論による水素吸蔵合金の水素占有サイトの解析とそれに基づく合理的材料設計
Project/Area Number |
12750620
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (50293676)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / 分子軌道法 / 電子状態 / クラスター法 / 水素化物安定性 / バナジウム合金 / 合金効果 / 合金設計 |
Research Abstract |
バナジウムは、水素化によって適度な安定性を持つγ相(VH_2)と、非常に安定なβ相(V_2H,VH)を形成することが知られている。本研究では、これらのバナジウム水素化物(V_2H,VH,VH_2)の電子状態を計算し、各水素化物中の水素の占有状態を詳細に調べた。また、V_2Hの電子状態に及ぼす合金元素の影響を調べた。さらに、種々のバナジウム合金を作製し、その水素吸蔵特性を実験から系統的に調べた。 電子構造の計算には、分子軌道法の一つであるDV-Xαクラスター法を用いた。計算より、原子間の結合次数および各原子のイオン性を求めた。V_2Hにおいて水素は、バナジウムのBCC格子の8面体サイトを占有し、(011)原子面に平行に2次元的に配列している。このとき、バナジウムの格子は、水素の入る(011)原子面間が[001]方向に広がったBCT構造をとる。一連の計算より、水素化に伴うV_2Hの格子歪みを理解することができた。V_2Hでは、バナジウム-水素間のイオン的な結合をできるだけ強くし、かつバナジウム原子間の結合をできるだけ保つような巧妙な格子歪み起こっていることが明らかになった。 一方、バナジウム-水素原子間のイオン的な相互作用は、V_2H<VH<VH_2の順に変化しており、バナジウム-水素原子間のイオン的な結合が、バナジウム水素化物の安定性を考える上で重要である示唆される。実際、種々の3d遷移金属(M)の添加による、M-H間のイオン性の差の変化は、実験により求めたV_2H相の平衡水素圧の変化と一部の元素を除きほぼ一致した。 この外、バナジウム合金の水素化物安定性に及ぼす合金元素の影響を系統的に調べている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Yukawa: "Characteristics of Electronic Structures in Hydrogen Storage Alloys"Advances in Quantum Chemistry. 37. 193-212 (2000)
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[Publications] H.Yukawa: "Design of Hydrogen Storage Alloys in View of Chemical Bond Between Atoms"Solar Energy Materials & Solar Cells. 62. 75-80 (2000)
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[Publications] 湯川宏: "水素修飾による局在量子構造と合金設計"まてりあ. 39. 571-574 (2000)
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[Publications] M.Morinaga: "Characteristics of Metal-Hydrogen Interaction in Hydrogen Storage Alloys"Acta Metal.SINICA. 13. 593-599 (2000)
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[Publications] H.Yukawa: "Alloying Effects on the Stability of Vanadium Hydrides"J.Alloys and Compounds. (印刷中).
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[Publications] M.Morinaga: "Roles of Constituent Elements and Design of Hydrogen Storage Alloys"J.Alloys and Compounds. (印刷中).