2000 Fiscal Year Annual Research Report
液相焼結法を活用した高効率熱電変換材料の合成と高性能化
Project/Area Number |
12750641
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 幹夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00294033)
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Keywords | β-FeSi_2 / 液相焼結 / 粒子再配列 / Al添加 / Cu添加 / 熱電特性 / Zrドーピング |
Research Abstract |
本年度では,β-FeSi_2を用いてメカニカルグラインディングあるいはメカニカルアロイング法によって得られた粉末を,実際に常圧焼結することを試みた.通常の常圧焼結のみでは1150℃付近での焼結後,試料がα相およびε相に分解してしまうので,その後800-900℃でのおよそ100時間という長時間での熱処理によりβ相が生成される.本研究において焼結中,液相焼結による試料の緻密化を促進させるため,比較的低融点金属であるAlおよびCuを試料粉末に添加して常圧焼結を行った.Al添加試料では昇温中においてAl-Si共晶融液が生成し,液相焼結による緻密化が期待されたが,AlのFe-Si相への拡散がおこり,試料中に多量の空隙を生じて焼結体は膨張し,試料の緻密化には至らなかった.また,Al添加試料ではβ相が安定に存在する温度領域を狭める働きを有していることが明らかとなり,以上の結果からAlはβ-FeSi_2の液相焼結における添加剤としては不適であることが確認された.一方,Cuを添加した場合,昇温中約800℃付近からCu-Siの共晶融液を生じ,試料粉末の再配列が促進され,無添加試料に比較して緻密化が大きく促進された.さらに降温時において無添加試料には見られなかった急速なβ相化反応が観察され,従来必要であったβ相化のための長時間にわたる熱処理を必要とすることなく,焼結のみによってβ相が得られることが明らかとなった.また熱電特性はCu添加による著しい劣化は見られず従来のホットプレス材と同等の性能が得られた.一方,Zrドーピングにより特に弱点であった高温側での低い性能を著しく改善できることを明らかにした.
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[Publications] Mikio Ito,Hiroshi Nagai,Shigeru Katsuyama,Kazuhiko Majima: "Preparation of β-FeSi_2 by liquid phase sintering and its thermoelectric properties"Journal of Advanced Science. Vol.12,No.4. 385-391 (2000)
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[Publications] Mikio Ito,Hiroshi Nagai,Shigeru Katsuyama,Kazuhiko Majima: "Effects of Ti, Nband Zr Doping on thermoelectric performance of β-FeSi_2"Journal of Alloys and Compounds. Vol.315/1-2. 251-258 (2001)