2000 Fiscal Year Annual Research Report
フェイズフィールド法によるセラミックス繊維/合金複合材料の結晶化シミュレーション
Project/Area Number |
12750653
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮原 広郁 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (90264069)
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Keywords | 複合材料 / セラミックス / 方向凝固 / サクシノニトリル-アセトン合金 / 熱拡散 / 溶質拡散 / 過冷度 / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
ノンファセット系凝固する純サクシノニトリルを、連続繊維により100〜700μmの種々の間隙を有する複合領域において10〜150μm/sの凝固速度で一方向凝固させ、結晶先端における過冷度を調査した。結晶先端位置は複合する繊維の種類、体積率および凝固速度に依存して変化した。そこで、エネルギー保存則に基づいたモデルにより数値解析したところ、マトリックス合金より低い熱拡散係数を有する繊維を複合した場合は複合領域全体の冷却が遅れ、一方、マトリックス合金より高い場合は複合領域全体のマクロ的な領域で冷却が促進されることを見いだした。続いて、サクシノニトリル-2.2mass%アセトン合金を用いて結晶先端における過冷度と溶質分配過程を調査した。結晶成長の過冷度は、繊維間隙が結晶を構成する基本単位であるデンドライト1次アームスペーシング(本合金の組成では500μm)より小さくなると、繊維間隙の減少と共に増加し、繊維間隙が1次アームスペーシングの50%まで減少すると、成長過冷度は4K上昇した。コンピュータを利用して結晶の溶質濃度の分布、結晶形態、過冷度を数値解析し、実験結果と比較した。繊維間隙を成長するデンドライトの先端では、結晶成長により排出された溶質元素が、バルクの場合より上昇し、繊維間隙が1次アームスペーシングの20%の場合、溶質濃度は1.8倍に上昇することを見いだした。結晶成長に伴い排出された溶質が、先端曲率半径、先端過冷度を変化させる現象はノンファセット系凝固する合金系では、金属および有機化合物いずれの場合も成立するものと考えられ、溶質濃度による過冷度は、曲率先端やkineticに依存する過冷度より高く、結晶成長を支配すると考えられた。以上のような凝固過程におけるミクロ的な熱および溶質元素分布の解析に基づいて、マトリックス合金と繊維の物性値から凝固組織を推定することができた。
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Research Products
(1 results)