2000 Fiscal Year Annual Research Report
冷熱生成のための高吸湿性ポリマーゲル型ヒートポンプの開発と性能評価
Project/Area Number |
12750659
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
汲田 幹夫 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (60262557)
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Keywords | 吸湿性高分子ゲル / 水蒸気 / 吸着式冷凍機 / 吸着平衡 / 吸着速度 / 冷熱出力 |
Research Abstract |
本研究は、未利用低温排熱を活用して冷熱を生成し得る吸着ヒートポンプの新たな組込み吸着系を探索することを目的に、シリカゲルなどの無機系固体吸着材と同等もしくはそれ以上の吸放湿能を有する吸湿性高分子ゲルを水蒸気系ヒートポンプの蓄水材に適用することを提案するものである。本年度は、これまでに吸湿性に優れるとの報告がある5種類の高分子ゲル:ポリビニルピロリドン架橋体(PVP1,2)、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体(SPA1,2)、ポリアクリル酸架橋体(PAA)を用意し、それぞれに対する水蒸気吸着特性を調べた結果、次の知見を得た。1)吸着温度30℃における水蒸気平衡吸着量は、何れの高分子ゲルに対しても相対圧約0.2を越える蒸気圧領域において相対圧の上昇に伴って増大する傾向にあり、相対圧0.5以上ではSPA2>PVP1>PVP2>SPA1>PAAの順に水蒸気吸着量が多いことが明らかとなった。特に、SPA2試料の相対圧0.55における水蒸気吸着量は、市販シリカゲル(比表面積819m^2/g)の約2.3倍に達した。2)蒸発温度20℃、吸着温度30℃における水蒸気吸着速度は、PVP1,PVP2の場合に速く、吸着開始後15〜25分で吸着平衡に近づく(シリカゲルと同程度)のに対して、SPA1,SPA2,PAAの場合はその速度が遅いことが分かった。しかしSPA2の場合は、水蒸気の吸着量自体が多いため、吸着開始20分後の吸着量はシリカゲルの場合とほぼ同量であった。3)上記1,2の結果に基づき、PVP2およびSPA2試料を用いて、蒸発・凝縮温度20℃、吸着温度30℃、脱着再生温度80℃での冷凍操作を想定した場合の冷熱生成性能を評価した結果、PVP2で1.06kW/kg、SPA2で0.19kW/kgの冷熱出力が得られることが明らかとなった。また、PVP2の値はシリカゲルの場合の0.61kW/kgを上回っており、本高分子ゲルが水蒸気系ヒートポンプの蓄水材として十分機能し得ることが示唆された。
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