2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12750707
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
武田 俊哉 帝京科学大学, 理工学部, 助手 (10262031)
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Keywords | 直接不定胚 / クローン植物 / 植物組織培養 / 形態形成 / 連続観察 / 培養条件 / 光照射 / カルシウム |
Research Abstract |
本研究は、直接不定胚誘導法をクローン植物の大量繁殖技術として確立することを、目的としている。本法では、植物ホルモンを用いた誘導培養により植物切片組織内の細胞に新たな細胞間極性を誘導し、その後、植物ホルモンを含まない培地にて不定胚を発展させる。脱分化増殖カルスを経由せずに、組織片から直接的に不定胚を形成させる方法である。試験材料にはニンジン無菌種子由来の実生下胚軸を用いた。植物ホルモンとして2,4-Dを含む培地上で7〜30日間、誘導培養を行い、植物ホルモンを含まない培地に移して不定胚の発展を観察した。 操作の簡易化と植物体発生効率の向上を課題とした検討により、本年度は以下の成果が得られた。 1植物ホルモンなど培地成分の組織片への浸透が不定胚形成効率に影響を与えている可能性を考慮し、浸透促進のための処理切片の細分化およびDMSO処理の影響を検討した。しかしながら、ともに不定胚形成促進効果は得られなかった。 2直接不定胚形成過程を解析するために、デジタルカメラを装着した実体顕微鏡システムにて切片の形態変化を連続的に観察、記録した。その結果、組織切片切断面からは脱分化カルスが発生し、カルス部からはほとんど不定胚は発生しないこと、不定胚は切断面に近い部位に比較的多く見られるが、切片全体の表層下部より発生していることが明らかになった。 3不定胚発生頻度に対する作用因子として、光照射、ポリアミンおよびカルシウムの添加の影響を検討した。ポリアミンおよびカルシウムの添加については、脱分化カルス細胞からの不定胚誘導に促進効果が見られている。その結果、光は誘導培養段階には必要ではないが、その後の不定胚発展段階には必須であること、ポリアミンの添加は影響しないこと、発展段階でのカルシウム添加は再分化を促進させることが明らかとなった。
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