2000 Fiscal Year Annual Research Report
準安定原子を用いた固体表面分子吸着反応解析システムの開発
Project/Area Number |
12750719
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
山田 健二 石川工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助手 (50249778)
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Keywords | 準安定原子脱励起分光法 / 窒化シリコン / アルカリ金属 / 触媒効果 |
Research Abstract |
高付加価値な電子デバイスの誕生と、プロセス工学の更なる発展には新材料創出とその基本的特性を探る新分析手法の開発が必要である。特に微細化が進む今日、固体表面とガス分子との局所的吸着反応を解析できるシステムが望まれるが、市販されている製品はない。申請者はこれまで準安定励起原子を用いた表面最外層電子状態分析を行ってきた。ただし、吸着反応を理解しただけでは新材料プロセス分野に貢献できるような技術的応用に発展しない。表面構造変化や表面元素量の評価といった定量的なデータを取り入れた複合的システムが必要と考える。 そこで、本研究では固体表面の分子吸着反応を複合的に分析できるシステムを開発することを目的とする。今年度製作するものとして、(1)ガス分子吸着のための試料冷却機構の製作、(2)ガス分子を定量的に試料に曝すためのガス噴出機構の製作、(3)複合分析システムにするための計測プログラムの製作を予定し、計画通り製作した。 既存の準安定原子ビームラインを利用して室温にて(2)のガス噴出機構を用いたSi表面の窒化実験を行った。実験はSi(001)基板上にアルカリ金属(Na)を蒸着させて、その表面上に窒素分子を噴射させた。Na吸着によってSi表面の窒化が促進されるという報告がある。実験の結果、酸素分子の噴射で見られたようなアルカリ金属S電子から酸素への急激な電子移行は起こらないことが分かった。ただし窒素吸着にともなう表面最外層電子構造の変化は観測できた。今後は準安定原子ビームラインの製作と試料冷却時の実験を行ない、その他の分析手法も取り入れた複合システムを開発する予定である。
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